このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。
21回目の今回は2002年です。
(手書きでの問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます!)
第1問
4次関数に関する性質を証明する問題です。
(1)問題文にあるヒント(「代数学の基本定理」と呼ばれるものです)により、4次式はr(x-α)(x-β)(x-γ)(x-δ)と因数分解できます。但しrは実数でα~δは複素数です。
ここからなんの前提知識もなしに題意を示すことは極めて困難なので、以下の前提知識は自明のものとして使っていきます。
実数係数の4次方程式の解は、
Ⅰ. すべて実数
Ⅱ. 2つが実数で、残りは共役な虚数
Ⅲ.2組の共役な虚数
の3パターンに限られる
あとは、この3パターンで場合分けして、α+β, αβ, γ+δ, γδの全てが実数になることを確かめていきます。
(2) f(x)=g(x)が実数解x=s,t,u,vを持つとすると、f(x)-g(x)=(x-s)(x-t)(x-u)(x-v)の形に書けるので、ここから逆算してs,t,u,vの条件とp,q,rを構成していきます。
<筆者の解答>
第2問
確率の問題で、如何に正確に場合の数を数えられるかがカギになる問題です。
各問の(i)のようにカードの番号の大小を気にする問題なので、
「A,B各人は、カードを1枚ずつ順番に引いていく」と考えると見通しが良くなります。すなわち、Aがa→bを順番に引き、次いでBがc→d→e→f→gを引くと考えるわけです。
(1)この場合はa~gにダブりがありませんので、全部の引き方は順番を考慮すると20P7通りとなります。
(i)a~gの組み合わせ(順番を考慮しない)を1つ決めると、その中で最小のものが必ず2つあります。なので、引く順番が(最小の2つの並び替え)→(最大の5つの並び替え)となる順番を数え上げればよいことになります。
(ii)こちらは順番を考慮する必要がないので全部の場合が20C7となります。
ここで、数字が一番小さい7つを合計しても1+2+3+4+5+6+7=28となるので、「合計30以下」となるa~gの組み合わせは相当レアです。それを実際に調べましょう。
(2)この場合はa,bとc~gにダブりが発生する可能性があります。とはいっても考え方は(1)と変わりません。
(i)この状況だとa~gにダブりがないので、(1)の(i)で考えた場合の数と全く同じになります。
(ii)余事象である「AとBの引いたカードにダブりがない」確率を調べてあげればよいです。
全体を通じてですが、全部の場合の数を「順番考慮」で求めた場合は個別の事象の場合の数も「順番考慮」で、同様に全部の場合の数を「順番非考慮」で求めた場合は個別の事象の場合の数も「順番非考慮」で調べる必要があります。
その使い分けが結構煩雑で面倒ですね。
<筆者の解答>
第3問
四角形の面積を最大化する問題です。
(1)余弦定理なども駆使すると、四角形の面積σがθの式で書けますが結構複雑です。問題文によると∠DABが登場しているので、それをαとしてαとθの関係式を求めると、σをθで微分した式がかなりスッキリすることになります。
(2)∠ABDが一般の場合ですが、θを固定してあげると結局∠ABD=90°のときに面積が最大となります。なので、結局(1)の結果を別の言葉で言い換えることになります。
(1)の結果から四角形ABCDは「円に内接」し、さらに∠ABD=90°なので円周角の定理から、その円の直径がADとなります。
<筆者の解答>
第4問
円柱の共通部分の体積に関する問題です。
(1)立体の概形を描けとか、絵心のない人にとっては鬼畜そのものな問題ですね笑
頭の中で立体はイメージできても、その境界線を描くのは結構難しいです。
(2)Knのz=tでの断面を考えると、幅2√(a^2-t^2)の長方形の帯を重ねてできる図形で正2n角形となることが分かります。その面積を計算して積分します。
(3)sinx/x→1(x→0)を利用して極限計算できます。この結果から、Knはn→∞で半径aの球になることが分かります。
<筆者の解答>