このシリーズでは、平成の京大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
5回目の今回は2002年になります。
第1問
確率の問題です。
これは具体的な数値を当てはめて実験をして様子を調べるとよいでしょう。すると、番号kのカードだけがBに入るようなカードの引き順が、
1. 1~nを番号順に左から並べる
2. kのみ1.から除去する
3. k+1より右側のどこかにkを入れる
の工程で作れることが分かります。
この考察から番号kがBに入る場合の数を調べて、全て足し上げてしまえばよいでしょう。
<筆者の解答>
第2問
楕円と円の交点について調べる問題です。
両者ともがx軸対称な図形になっているので、y>0のエリアで2つ交点を持つ条件を調べれば十分です。
楕円の式と円の式を連立してできるxの2次方程式が2つの実数解を持つ条件を探っていきますが、その解に対して対応するyが実数で見つかる条件を調べることを忘れがちなので、要注意です。
<筆者の解答>
第3問
空間図形の証明問題です。
申し訳ありませんが、この問題については満足のいく解答を作ることができませんでした。なので、ざっくりとした方針だけ説明しようと思います。
四面体を固定して平面側を動かすと訳が分からなくなるので、平面の方を固定して、辺ABを軸にして四面体を回転することにします。同一円周上か否かが問われているので、ベクトルなどではなく、初等幾何を使って考えると良さそうです。
このとき、∠BC'Aと∠BD'Aは逆相関に変化します。
ここで、∠BC'A+∠BD'A=180°になる瞬間があると言えれば、「対角の和が180°であれば、その四角形は円に内接する」という性質で題意が示せるのですが、その方法が思いつかなかった・・・という次第です。
すみません。。。
<筆者の解答>
第4問
多項式に関する証明問題です。問題文の通りに帰納法を使って示すのですが、若干発想力が問われます。
以後、x^nの係数が1となるn次式をfn(x)と書くことにします。
n=1のときは簡単に題意が示せます。
n=kのときに題意の成立を仮定すると、n=k+1で何が起こるか?
ここで発想力がいるのですが、x=qk+1のときのfk+1(x)の値をrとすると、
fk+1(x)= (x- qk+1)*fk(x) + r
と一般的にかけます。このときfk+1(x)は最高次係数が1だし、x=qk+1で有理数になっています。
ここでx=q1,・・・,qkのときfk+1(x)が全部有理数なら、fk(x)もすべて有理数となるので、ここで仮定が使えるというわけです。
<筆者の解答>
第5問
連立漸化式の問題です。
(1)cn=与式として、cnの漸化式を作ってみましょう。
(2)anとbnの一般項が分かれば一番良いのですが、解けそうにない形をしています。ここで(1)の結果をうまく利用できないかと考えます。
(1)の結果をan^2で割ってみると、anの極限が分かればan/bnの極限が計算でき、直感的にanは無限大に発散しそうだと分かります。なので、an→∞を証明することで解決します。
(1)の結果を使うと、an+1 =2an^2 -1 が求まり、anは明らかに1より大きいのでan^2>anが言えます。よって、an+1>2an -1 が言えて、この不等式を解くと、an>2^n -1 と評価できます。この右辺は明らかに無限大に発散するので、それよりも大きいanは無限大に発散するということができます(これを「追い出しの定理」と呼んだりします)
<筆者の解答>
第6問
積分方程式の問題です。
左辺の積分を計算し、定積分の部分を文字でおいてf(x)の仮の式を求めて、定積分に代入して値を確定させる
というお馴染みの解き方で事足ります。
<筆者の解答>