このシリーズでは、平成の京大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
6回目の今回は2001年になります。
第1問
整数問題です。
式をパッと見た瞬間に(x+y+z)^2の因数分解が浮かんでほしい所です。この因数分解を使うことで、平方数の和=5の形に出来るので、そこからx,y,zの候補を絞り込むことができます。
<筆者の解答>
第2問
関数列の漸化式の問題です。
まず「gn(x)を求めよ」と言われているので、gn(x)の漸化式を作るとよいでしょう。すると帰納的にgn(x)の形が求まるので、fn(x)も求まることになります。
fn(x)を求める過程でgn(x)を1-xで割るのですが、x=1の場合だけ割ることができないので、この場合だけは例外処理をする必要があります。
x=1以外ではfn(x)は等比数列の形になっているので、公比をチェックすれば収束条件が求まります。
<筆者の解答>
第3問
複素数平面に関する問題です。が、この問題に関しては多分に図形問題の色合いが濃いです。
原点中心の正5角形なので、各頂点はαのべき乗で表現できます。
A(1), B(α), C(α^2), D(α^3), E(α^4), P(z)と、各頂点に名前を付けておきましょう。
(1) 図を描いてみると、OPベクトルとODベクトルは互いに逆向きになっているのでz=-tα^3(t>0)と表現することができます。OD=1なので、とりもなおさずOP=tということになります。ということで、OPの長さtが求まればOKということになります。
複素数を直で使ったり座標で解くような「代数的なごり押し解法」ではうまくいかないので、図形的な性質を使って求めていきます。ここでは三角形の相似と、方べきの定理を使うとうまくいきます。
すると、αを含んだ絶対値だらけの式でtが書けるので、あとはαに具体的な値を入れてごり押し計算です。そのときにcosπ/5, sinπ/5の値が最終的に必要になりますが、これはθ=π/5とおいて、cos3θ=-cos2θという方程式を立てて解くのが定番ですね。
初等幾何を使わずベクトル的に解く方法もあるでしょうが、計算がかなり面倒になりそうだったので、初等幾何を中心に使った解法を選択しました。
(2)これは実は(1)とは独立に解くことができます。これもまた初等幾何の知識を使います。
「同一円周上にある」というキーワードから真っ先に浮かぶのが「円周角の定理」ですね。ということで、OAを減とした時の円周角、∠OPAと∠OCAが等しくなるかをチェックしましょう。
これも代数的に解こうとすると、多分えらい目に遭います・・・
<筆者の解答>
第4問
小数部分、2^nの最高位に関する問題です。(2)は(1)と独立しているように見えます。
(1) nlog2そのものを不等式で評価して、log2で割り算し、nが整数になるようなnlog2の整数部分をひたすら探していく・・・というのがスタンダードな解法です。
が、答えだけならサクッと分かってしまいます。log2の近似値を10倍すれば、小数点以下が0.01~0.011となって条件を満たすことが一目瞭然です。
(2)2^nの最高位=7というのは、7×10^M≦2^n<8×10^Mと数式で言い換えることができます。あとは(1)と同じように対数を取ってnが整数となるようなMをひたすら探す、という作業になります。
ですが、この問題の場合はなかなかお目当てのMが出て来なくて、何回も小数の割り算をする羽目になり大変です。電卓なしではしんどいので、捨ててよいと思います。
<筆者の解答>
第5問
連立1次方程式の解に関する問題です。大学で習う「線形代数」の授業の最初の方で、「この連立方程式は解を持つか否か」というテーマの議論が登場するので、それを先取りしたような問題です。
(1)今、Aが逆行列を持つんだとすると、問答無用で(i)も(ii)も解を持ってしまいます。なので、この問題の場合は「Aが逆行列を持たない」ことが必要条件になります。
ということでad-bc=0、言い換えればa:c=b:dという事実が分かります。この時点で(a,c)が(b,d)の実数倍になっていることが分かります。
この事実を使うと(1)の題意が示せます。
(2) (1)での議論から、もし(4, 5-s)が(s, 1-s)の実数倍になってしまうと(ii)も解を持ってしまうことになります。なので、このような不都合なsを計算することに帰着します。
<筆者の解答>
第6問
点の軌跡と面積を考察する問題です。
P(cosθ, sinθ)とおいて、Qの座標(X,Y)をθとaで表現するのが先決です。
このあと、Xの最小値を議論するのですが、どうせ後でC2の概形を調べることになるので、Xをθで微分することで増減を調べる方が無駄がなくてよいです(一応Xの最小値は、微分なしでも平方完成で知ることができますが)。
同様にしてYの増減も調べることでC2の概形を描くことができます。
C2はx軸対称になっていることに注意すれば、上半分の面積のみ計算すれば十分です。θの積分として面積を計算しましょう。
<筆者の解答>