このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。
23回目の今回は1991年になります。
第1問
行列の漸化式の問題です。
(1) (2)はともに数学的帰納法で調べればよいでしょう。
(3) (2)でan-bnを調べているので、そこからの類推でan+bnを調べれば良さそうだと分かります。
<筆者の解答>
第2問
※筆者注:(2)は「0以外」
整数に絡めた証明問題です。
(1)x^n + x^(-n) の漸化式を立てるとスムーズに証明できます。
(2) x-1/xとx^2 - 1/x^2が同時に整数になるのがx-1/x=0の時だけだと示せればよいわけです。なので、x-1/x=m (m:整数)のときに、x^2 - 1/x^2が整数になるmの条件を調べていきましょう。
<筆者の解答>
第3問
接線と放物線の交点に関する問題です。
PとQのx座標をp,qとし、接線をy=tx-t^2/2としてPQの長さをtの式で表現することを目指します。解と係数の関係などを駆使していきましょう。
<筆者の解答>
第4問
立体の体積の問題です。
問題文のままだと抽象的で分かりにくいので、A(0,0,0), B(0,0,4), P(x,y,z)と座標設定すると見通しがよくなります。
こうなった時に、考える立体を平面z=tで切った断面積を積分すれば体積が求まります。
<筆者の解答>
第5問
確率を絡めた不等式評価の問題です。
(1)4枚が別の番号になる場合の数はnP4で計算できるので、その確率は容易に計算できます。こうしてできる3次不等式を解けばいいのですが、うまく因数分解できなくてストレートに解けません。
不等式は (最高次係数2の3次関数)>(最高次係数1の3次関数)となっているので、nが十分大きければ当たり前に成立しそうです。
それを念頭に置いて、nが小さい所で実際に値を代入して比較してみましょう。するとnの下限が分かるので、nがそれよりも大きい所で不等式が成り立つことを確認します。
(2) 3枚+1枚となる場合、2枚+2枚となる場合に分けて確率を計算します。
最終的に考える不等式は(1次式)>(3次式)となるので、成り立つnは限られていそうだと分かります。こちらも実験で範囲を確かめる方法で考えます。
<筆者の解答>