このシリーズでは、平成の一橋数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
一橋の後期は文系向けにも関わらず数Ⅲが出題範囲に含まれています。なので、どうしても数Ⅲの知識が不可避な問題については「※数Ⅲ必須」とコメントを付けておきます。数Ⅲやってないよ、という文系志望の方は、このコメントのない問題を中心に見ておけばよいと思います。
22回目の今回は1992年になります。
第1問
放物線の2本の共通接線に関する問題です。
(1) P(s, -s^2), P'(t, -t^2)と座標を置いてあげて、問題文の条件からQ,Q'の座標を求めていきます。途中、解と係数の関係を使ってs+t, stをa~cの式で書いておくと見通しがよくなります。
(2) △PP'Rと△QQ'Rが(1)の結果から相似になるので、面積比は、PR^2 : QR^2で求まります。PR:QRについては、PとR, QとRのx座標の差で比を計算するのが楽だと思います。
<筆者の解答>
第2問
6次方程式の解の個数を検討する問題です。
(1) g(x)のグラフの概形を調べれば瞬殺でしょう。
(2) (1)の結果を使うと、「f(y)=0が異なる2実数解を持って、その実数解が両方とも絶対値1未満である」が求める条件だと分かります。
<筆者の解答>
第3問
連立漸化式を題材にした整数問題です。
(1) 漸化式を使って、逆行列をかければ求まります。
(2)問題文を読み替えてあげると、「xnとynが常に互いに素である」ことを示せば十分だと分かります。
xnとynが途中で2以上の公約数を持つと仮定すると矛盾が起こることを示す背理法で攻めます。
<筆者の解答>
第4問
領域図示の問題です。
(1)まず、M(P)とm(P)の式を求めることが先決です。Pの座標を(a,b)として、線分AB上の点(t,0) (-1≦t≦1)との距離を調べ、tを動かしたときのその距離の最大値をM(P), 最小値をm(P)とすればよいです。が、aの値によって場合分けが発生するのが難儀なポイントです。
この各場合分けに対して、(ア), (イ)を逐一検討する必要があるので、難易度は高めだと思います。
(2) Kの図示さえできてしまえば、簡単な積分で面積は求まってしまいます。
<筆者の解答>
第5問
確率の問題です。
Aの得点をa, Bの得点をbとして考えていきます。この問題では確率漸化式を立てる方法がよいと思います。
(1) 途中でa-b=±2になることなく、k回後にa-b=0となる確率、a-b=1となる確率、a-b=-1となる確率を考えて、互いの推移を考えましょう。
こうして「ちょうどn回目でAが勝つ確率」が求めるので、Σしてあげればpnが求まります。
ただ、nの偶奇で場合分けが発生することに注意です。
(2) 考え方は(1)と全く同じで、途中でa-b=2,-1になることなく、k回後にa-b=0となる確率、a-b=1となる確率を考えて、互いの推移を考えます。
ちなみに、(1)の結果でn→∞の極限を取るとpn→4/5となり、(2)の結果ではqn→4/7となります。これは「とにかくAが勝つ確率」を求めていることになり、(1)のルール設定だと圧倒的にAが有利だと分かります。そこでBが有利になるようなルール変更を(2)でやっているのですが、それでもAが若干有利ですね。
いかに得点配分の偏りがゲームの有理不利に大きく影響してるかがよく分かります。
<筆者の解答>