このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
10回目の今回は2010年になります。
第1問
関数の決定と回転体の体積を計算する問題です。
(1) 点と直線の距離の条件から求めることができます。絶対値を外すときにCがlより下側にあるという条件を使います。
(2) 標準的な積分の問題です。
(3) (2)の結果を微分すればよいでしょう。X=a^2と変数変換してから微分するとすっきりします。
<筆者の解答>
第2問
ベクトルの問題です。
(1)AQとBPの長さを計算して比較しましょう。鋭角三角形なので、aとbの内積は正になります。
(2) RがAF上にある条件と、BE上にある条件を連立します。
(3) 単純に見ると極限は0/0の不定形になってうまく計算できません。ここは、「等比数列の和の公式」をうまく適用してあげましょう。
※ロピタルの定理という禁じ手を使うと極限はすぐに求まってしまうのですが。
<筆者の解答>
第3問
ベクトル列に関する問題です。
(1) (2)は実験してみなさい、という問題です。(1)の場合は変化なし、(2)の場合は-1/3の等比数列、という結果になります。
(3) (1)と(2)の結果を使えるように、(k,0)をうまく(3,2)と(3,-2)の線形和の形で表現しましょう。
(4) (3)の結果を使えば、|RnRn-1|は等比数列の形に出来ます。
<筆者の解答>
第4問
確率の問題です。
(1)q5については、最初の4回で表が2回出て、5回目で表が出る確率です。Σqiはn回以内に終了する確率なので、余事象のn回やっても終わらない確率を計算すればよいでしょう。
q5については、Σqiの結果を利用しても求めることができます。
(2)考え方は(1)と同じです。pk(n)の最大値については、pk(n)とpk(n+1)の比と1との大小関係を調べるのがよいでしょう。
<筆者の解答>
第5問
周期関数を含んだ積分に関する問題です。
(1) X=x-k(n-1)と変数変換してあげるとTnが計算できるようになります。f(x)が周期kの周期関数なので、f(x)=f(X)とできます。
(2)問題文のSnはSNの間違いです。
積分区間を連結することでSNは0~kNの区間での積分値になります。f(x)≧0ということは積分の中身が常に0以上になるので、zが大きくなればなるほど積分の値は大きくなっていきます。ここからzをkNとk(N+1)で挟むことができます。
このときN→∞でSNは収束し、N→∞とするとz→∞となるので、はさみうちの定理から収束性が示せます。
(3) f(x)=|cosπx|とすると(2)の結果を使うことできます。f(x)の周期は1なので、k=1とすればよいでしょう。
ここまでくれば最後はT1を積分するだけですが、これが絶対値の存在もあってかなり計算が面倒です。
<筆者の解答>