このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
14回目の今回は2006年になります。
第1問
放物線と円に関する問題です。
(1) C1, C2を連立してできる方程式が重解を持つ条件を考えればよいでしょう。
(2)こちらも、図を描いて定石通りに積分を実行するのみです。
<筆者の解答>
第2問
確率の問題です。
(1) これは教科書レベルで、説明不要でしょう。
(2) AからBに移す3個の配分がどうなるかによって場合分けして調べましょう。
(3) (2)の結果がmとnの2次式になっているので、m+n=4を利用して2次関数の平方完成に持ち込めばよいでしょう。
<筆者の解答>
第3問
漸化式を解いて極限を計算する問題で、正直誘導無しでいきなり(3)が解けないといけないレベルのサービス問題だと思います。
(1)anの漸化式の逆数を取るだけで求まってしまいます。
(2) bnの一般項を求めて逆数を取ればお終いです。
(3) 0≦c/2<1に注意すれば、極限計算も容易です。
<筆者の解答>
第4問
いわゆる「最小2乗法」に関する問題です。
データからそれに最も近い一次関数の式(回帰式)を導く方法が「最小2乗法」です。f(a)は、ynとa*xnの差の2乗を合計したものになっていて、それを一番小さくするaを選ぶと、それがデータと一番ズレの少ない一次関数y=ax(回帰式)を与える、という格好になります。
(1) 式がごついですが、惑わされずにf(a)をaで微分してf'(a)=0となる値を探りましょう。
(2)背理法で考えます。
もしすべてのデータがy=a0*xの下側にあるとすると、f(a)の値がf(a0)より小さくなるようなaが見つかってしまいます。しかしそれはf(a0)がf(a)の最小値という設定と矛盾します。
同様に考えれば全てのデータがy=a0*xの上側にあることもありえません。
(3) 実際にa0を計算して、あるデータ(xj, yj)がy=a0*x上にある条件を求めてみましょう。
<筆者の解答>
第5問
行列の対角化と、数列の極限を考える問題です。(1)~(2)がまさに「行列の対角化」の方法そのものになります。
(1)連立方程式の右辺を0に統一してあげると、係数の行列に「逆行列が存在しない」ことが、(x,y)=(0,0)以外の解を持つ条件になります。
ここで求まったλは、Aの「固有値」となります。
(2) λ=α,βのそれぞれに対して(1)の連立方程式を満たす(x,y)の1つ(固有ベクトルという奴です)を求めてしまえば、固有ベクトルを2列に並べたものがTとなります。
(3) (2)の結果からA^nを、対角行列のn乗とTで表すことができます。
(4) (3)の結果を使うと(xn, yn)の一般項が求まるので、0<β/α<1に注意して極限計算をします。
ここで、3x+2yが0か否かによる場合分けが発生することを見落としがちなので注意しましょう。
(訂正:答案ではxn,ynの一般項のnの番号が1個ずれています。⑨’のnをn-1に変えて頂ければ結構です。最後の極限の議論には影響しませんが)
<筆者の解答>