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平成の九大理系後期数学 -2005年-

このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

15回目の今回は2005年になります。

 

第1問

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確率の問題です。

 

最初に、1回分の試合でAが勝つ確率、Bが勝つ確率、引き分けになる確率を求めておきましょう。AとBは対称なので、引き分けになる確率を先に求めて、1からそれを引いたものを2で割ればA,Bの勝つ確率がそれぞれ求まります。

 

(1) AとBが同じ得点になるとき、AとBの勝ち数が等しくなります。よって勝ち数で場合分けして全部足せばOKです。

 

(2) 最初にAが勝って5回目までの総得点でBが勝つとき、Bの勝ち数はAの勝ち数より多くなります。これについても場合分けして検討しましょう。

 

(1)(2)にしても分数の計算がかなり面倒です。

 

<筆者の解答>

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第2問

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関数の増減と面積を計算する問題です。

 

(1)f(x)を2回微分すると、f'(x)の増減が分かります。最小値が2つ候補が出てくるので、それぞれが0以上になることを確かめましょう。

 

(2) (1)の結果からf(x)は単調増加でf(0)=0なので、3次関数の方が対数関数をつねに上回っていることが分かります。なので、特にややこしい事もなく面積の積分計算ができます。とはいえ、数が大きくなるので計算は面倒ですが。

 

<筆者の解答>

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第3問

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漸化式の問題です。

 

(1) f'(x)を計算すれば、よくある2項間漸化式になります。

 

(2) an+1 -anを計算すると等比数列になります。

 

(3) f(x)-m =(x+p)^2に気付けると楽に進みます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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ベクトルの問題です。

 

(1) 平面上の点に関する公式証明ですね。一旦Aを始点にして平面ABC上の点Nの位置ベクトルがどう書けるかを考えるとよいでしょう。ABベクトルとACベクトルが1次独立なことに注意すると、ANベクトルはtAB+uACと書くことができます。

 

(2) 内積の条件から、k=cosθとしたときにa=(0,0,r), b=(r,0,0), c=(rcosθ, rsinθ, 0)としてもよいことが分かります。このときに平面ABCの式を調べると、nはこの法線ベクトルの定数倍になることが分かります。あとは、(1)の条件と見比べればよいでしょう。

 

(3) a,b,cを図示すれば、△OBCが底面、高さOAの四面体を考えればよいと分かります。ということで(2)の結果とは独立して解くことができます。

 

<筆者の解答>

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第5問

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行列の問題です。

 

(1)複雑な式ですが、Pの成分を文字でおいて地道に成分比較するしかないでしょう。結果、どっかで見覚えのあるtの式でPの各成分が書けます。その後に(2)のtの変換を見れば腑に落ちると思います。

 

(2) t=tan(θ/2)を使った有名な変数変換の式ですね。積分で何度かお目にかかったことがあるはずです。結果Pは原点の周りにθ回転する行列になります。

 

(3) P^3は原点の周りに3θ回転する行列なので、それがEになるということは、3θが1周分、つまり偶数×πになっていればよいという事です。

 

<筆者の解答>

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