ちょぴん先生の数学部屋

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2022年度 慶応大理工学部数学 解いてみました。

2022年も大学入試のシーズンがやってきました。

今回は、慶應義塾大学理工学部に挑戦します。

 ※当日解いており、解き切れなかった問題や誤答があるかもしれません。

→2/15追記:河合塾の解答速報を確認した結果、全問正解でした。

 

<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)

1(1): ベクトルの処理 (10分)

1(2):整数問題 (10分)

2: 楕円と円の共有点、回転体の体積 (50分)

3: 確率 (30分)

4: 指数関数と直線が交わる条件・極限 (25分)

5. 三角形の面積・四面体の体積 (15分) 

計140分

 

<体感難易度>

1(1)<5<1(2)<4<3<2

 

計算の面倒さは相変わらずですが、全体的に昨年よりは易化したかなという印象です。

 

1(1)は確実に得点しないとダメな問題であり、5も見掛け倒しの比較的易しい図形問題です。2は意外と処理が面倒な最難問だと思いました。

 

<個別解説>

第1問

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例年通り第1問は小問集合となっています。

 

(1)ベクトルの処理の問題です。

a,b,cが全て互いに垂直と言うのが非常にありがたいですね。これにより異なるベクトルの内積が0になってくれるので、計算が非常にスムーズに進みます。

 

ウについては、ア、イの結果をそのまま利用できます。

 

(2)整数問題です。

ガウス記号が登場していて面喰いますが、nが奇数という条件が付いているおかげで実はガウス記号を即座に外すことができます。

 

すると、問題は実質n(3n+1)が12の倍数になる条件を求めることになります。3n+1が3で割り切れないのでn自身が3の倍数で確定しn=6k+3とかけます。そのとき、12の倍数になるようなkの条件を求めていけばよいでしょう。

 

<筆者の回答>

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第2問

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楕円と円の共有点、回転体の体積を求める問題です。

 

(1) C1とC2を連立して解くのですが、yを消去するのが得策でしょう。そのとき、C2の式から-3≦x≦3を満たしていないといけないので、連立した2次方程式の解の少なくとも1つが-3≦x≦3を満たす条件を考えます。

 

今回の場合は、xをrの式で直接求めてしまうのが一番手っ取り早かったでしょうかね。

 

(2) クについては(1)で考えた方程式の解にr=1をそのまま代入すればよいでしょう。

 

ケは図を描くと「中心角60°の扇型2つ分+正三角形」が求める面積だと分かります。

 

(3)回転させる図形を図示すると、C2についてはともかく、C1については途中で極大値を持ったりするので、素直に∫πx^2dyで体積を求めにくい形をしています。

 

ここは、平面y=kによる断面積がどうなるかを調べて積分する、という作戦の方がよいと思われます。

 

<筆者の回答>

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第3問

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確率の問題です。昨年に比べると状況設定はさほど難しくはありませんが、慶應の問題らしく依然としてルールが複雑です。

 

表なら確実に赤が追加されるので、「白が追加される可能性があるのは裏が出る場合だけである」ということに着目できたかがポイントです。

 

(1)については、高々2回分なので実際に推移を図にするのが確実でしょう。

 

(2) 表が2回、裏が1回出る確率は簡単に計算できるので、実質「表が2回かつ裏が1回出て,なおかつ白が2つになる」確率を考えます。

 

表2回+裏1回の出る順番で様子が変わるので、場合分けして調べましょう。

 

(3) 袋の中身が白だけになるのは、全部裏が出る場合だけです。

 

(4)1回目だけ表がでて、2回目以降は裏かつ白を取り出すことになります。

 

(5) (4)と同様に考えると、l-1回目までは裏が出続け、l回目に表が出て、l+1以降は裏かつ白を引き続けることになります。

 

その確率を全て足し上げれば答えです。

 

<筆者の回答>

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第4問

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 指数関数と直線が交わる条件・極限を調べる問題です。

 

(1) y=e^xとy=ax+bの交点x座標は、f(x)=e^x -ax-b としたときにf(x)=0の実数解になります。f(x)の増減を調べることでf(x)=0となる瞬間があるかを調べていきますが、a=0の場合だけ例外処理する必要があります。

 

(2) t<e^tに注意すれば、半径チは「点と直線の距離の公式」を使えば絶対値が外れて状態で求めることができます。

タについては、その後にDの式を実際に立ててy=xと連立して求めればよいでしょう。

 

内分の条件から(X,Y)の具体的な表式が求まるので、愚直に与える式の極限を計算していきましょう。ヒントの式を使えば具体的にkを使った式に収束します。

 

<筆者の回答>

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第5問

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三角形の面積と四面体の体積を考える問題です。

 

(1)テについては余弦定理で、トについては正弦定理で求まります。

 

ナについては、△ABCを実際に図に描いてあげると、Dは△DABがDA=DBの2等辺三角形になり、なおかつTの中心が三角形の内部にくるように設置すれば、面積を最大にできると分かります。

 

(2) Hが△ABCの外心だと気付ければ、三平方の定理だけで求まってしまいます。

 

(3)四面体の体積は、H,O,Eがこの順番で一直線に並べば最大となります。高さの情報は(2)までで求まっているので、あとは△ABCの面積が求まればお終いです。

 

<筆者の回答>

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