2022年も大学入試のシーズンがやってきました。
今回は、九州大学の理系数学に挑戦します。
<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)
1. 平面に対して対称な点 (20分)
2. 多項式の割り算 (25分)
3. 整数問題(40分)
4. 区分求積法の導出 (20分)
5. パラメータ表示された曲線の図示 (50分)
計155分
<体感難易度>
4<1<2<5<3
極端に簡単な問題もなく程よく難しい良セットだと思います。第4問がまさかのセンター試験じみた穴埋め式で面喰った受験生が多いかもしれませんね。
<個別解説>
第1問
平面に対して対称な点に関する問題です。
(1)n=(a,b,c)とおいて、順に条件を処理すればよいでしょう。
[3/1追記] x成分が正という条件を失念していました。答案の符号違いが正答になります。(2)以降には影響しません。すみませんでした。
(2) (1)の情報からαの式が求まります。するとPP'はnと平行になり、PP'の中点Mはα上にあることになります。
(3) P,Qはαについて同じ側にあるので、いわゆる折れ線の長さを最小化する問題になります。このときに(2)で求めたP'が生きてきます。折れ線の長さはPをP'に取り換えても等しいので、Rが線分P'Qとαの交点になっていればよいわけです。
[3/1追記] 最終結果に計算ミスがあったので修正しました。
<筆者の回答>
第2問
多項式の割り算に関する問題です。
(1) (2) 因数定理をフル活用していきます。Qに(x-β)の2次の因数がかかっているので、与式を複数回微分してからx=βを代入するとよいでしょう。
Q(x)ありきでA,B,Cの式を求めて、それからQ(x)の存在は明らかだよね?って論法で攻めたのですが、なんか邪道な気がしますね。。。
(3) (2)で直接極限を求めるのが厳しく感じたので、最初から与式でβをαに取り換えた式で改めて係数を考える、という寝技で落としました。あぁ、大学入試でロピタルの定理が禁じ手なのが悔やまれる笑
<筆者の回答>
第3問
整数問題です。(2)の解法でかなり手間取り時間がかかってしまいました。
(1) ①からnが奇数だと分かるので、n=2k-1とかけます。その状態で両者を計算すると差が1になると分かります。差が1の自然数は、当然互いに素です。
(2) (1)の奇数の方をXn, 偶数の方をYnとします。(1)の検討からYnは4の倍数なので、mが4の倍数でないといけないと分かります。
この状態で①を変形すると、Xn×(Yn/8) =3×5×7×平方数の形になります。
このときにXnが3でも7でも割り切れなければ、Ynは8でも3でも7でも割り切れる、つまり168の倍数だと分かるわけです。なので、Xnが3でも7でも割り切れないことをチェックしましょう。
(3) (2)の結果からYn = 168k, Xn = 168k+1 とかけるので、k(168k+1)=5×平方数 となります。このようなkを調べますが、運よく露骨に見えているk=5でうまくいきます。
<筆者の回答>
第4問
区分求積法を導出する穴埋め問題です。積分の基本的な性質から公式証明していく趣の問題ですね。
(1) 微分の定義に帰ると、微分の線形性が示せて、そこから積分の線形性も示せます。
(2) G(x)について指示通り平均値の定理を使う、それだけです。
(3) 使う性質は(C)ですね。
(4) (3)で証明した式を連結するので、(B)を使えばよいでしょう。
<筆者の回答>
第5問
パラメータ表示された曲線の概形を調べる問題です。
(1) x,yをtで微分して符号を調べましょう。dy/dxは、dy/dt ÷ dx/dtで求まります。
(2)直線とCはうまい事連結するので面積計算できます。tへ置換積分していきます。
(3) xがtの偶関数で、yがtの奇関数なことを使って、x=f(y)とおいたときにf(-y)=f(y)を示します。
回転対称性については、行列を使うとうまく証明できます。
(4) (3)の結果から0≦t≦π/3での概形が分かれば、あとはそれを60°ずつ回転させて一周させるだけになります。
<筆者の回答>