このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
4回目の今回は2016年になります。
第1問
ベクトルに関する論証問題です。
与式が成り立つとき、OAk, OAj, OAlの各ベクトルがこの順番に60°ずつ間隔をあけて並んでいることが調べられます。
この法則があらゆるjで成り立っているので、OAjは必ず60°おきに並んだ6個セットになっていないといけないことが分かります。
<筆者の解答>
第2問
感染者数を題材にした漸化式の問題です。とてもタイムリーな題材ですね。
(1) anは、n日目に新規に感染した人と、n-1日までに感染した人の合計であることに注意が必要です。なので、n日目の新規感染者数をbnと分けて考えるとよいでしょう。新規感染者数bnは、2日前の感染者数の2倍ですね。
そうなると、n+2日目の感染者数は、n+1日目までに感染した人数と、n+2日目の新規感染者数の合計になります。
(2) (1)の漸化式を解けばOKです。ありがたいことに、a1,a2は問題文に書かれています。
結果として、anは指数関数的に増えることが分かります。
(3) (2)の結果に(-1)のべき乗が含まれているので、nの偶奇で場合分けして検討するとよいでしょう。
<筆者の解答>
第3問
条件付確率の問題です。
求める条件付確率は、(Aが起こりBが起こらない確率)÷(Bが起こらない確率)で計算できますが、AとBが同時に起こることはありえないので、分子は(Aが起こる確率)と言い換えても問題ないことがポイントになります。
<筆者の解答>
第4問
楕円を題材にした四角形、五角形の面積に関する問題です。
(1) P(cosθ, 2sinθ)とおいて、四角形OAPCの面積をθの式で書いて処理すればよいでしょう。
(2) EとFがy軸に対して、同じ側にあるか反対側にあるかで大きく場合分けされます。
これは、実は後者から考えると早いです。
後者の場合は(1)の結果を使うと、Eと(1)のPに、FをEとy軸対称に配置すれば面積を最大化できることが分かります。
前者の場合は、EとFがどんな配置であっても楕円の1/4の面積より五角形は小さくなります。そして、この楕円の面積の1/4自体が、上で求まった最大値よりも小さくなるので、この場合は最大値になりえないことが分かります。
<筆者の解答>
第5問
複素平面に関する問題です。
(1)こちらがメインの問題です。
1と-1の両方を通る円の中心は虚軸上にあるので、zがこの円周上にあるとき|z-it|=√(1+t^2) と表現できます(tは正の実数で、以後tを固定して議論します)。
以後証明するべきは、「必要十分条件」とあるので
・|w-it|=√(1+t^2) → 与式=負の実数
・与式=負の実数 → |w-it|=√(1+t^2)
の両方になります。
両方ともかなりの計算量が要求され、なかなかに大変です。後者については、与式をz=の式に直して、|z-it|=√(1+t^2) に代入して式変形するとよいでしょう。
(2) x,yの符号の条件から、(1+z^2)/2が(1)のwの条件と合致することが分かります。なので、(1)の式にw=(1+z^2)/2を代入して処理していけばよいでしょう。
<筆者の解答>
第6問
積分の計算問題です。
(1)部分積分を2回やることで、x^2を解消してあげればよいでしょう。
(2) Iを(1)の結果も使いつつ計算すると、aの2次式に帰着できます。なので、最小値は平方完成で調べればOKです。
<筆者の解答>