このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
13回目の今回は2006年になります。
第1問
多項式の割り算に関する問題です。
(1) F(x)=Q(x)G(x)+R(x)とおいて、F(x)=0とG(x)=0の共通解をαとしたとき、R(α)=0を示せばOKです。
(2) G(x)とR(x)は両方とも(x-2)(x-a)で割り切れます。なので(1)の結果からS(x)も(x-2)(x-a)で割り切れ、かつS(x)は2次以下なのでS(x)=s(x-2)(x-a)と書くことができます。あとは係数比較を使ってsを確定させればよいでしょう。
また、(1)の結果から、F(x)=0とG(x)=0の共通解は、G(x)=0とR(x)=0の共通解になるので、上記のx=2,aは少なくとも該当します。あとは、それ以外に共通解があるかを調べればよいでしょう。
<筆者の解答>
第2問
和の絡んだ漸化式を解く問題です。
(1)問題文の漸化式をひたすら使って計算します。
(2)(3)これはまとめて解いたほうが良いと思います。
(1)の結果からbnの一般項の予想が付くので、それを帰納法で証明していく形になります。その予想の元漸化式を弄っていくと、自然とanの一般項も予測できることになります。式が混み入ってて計算量が多いですが、頑張って解き切りましょう。
bnの形を見て、bnの和をとろうという発想になれば勝ちです。
<筆者の解答>
第3問
確率・期待値の問題です。
(1)ルールに従って、得点の確率分布を愚直に調べるほかありません。
(2) 1回目にa, 2回目にb, 3回目にcが出るとしたときに、得点が7以上になるような(a,b,c)の組み合わせを数えます。a~cに6があるか否かで場合分けして検討すればよいでしょう。
(3) Sから総得点がどう変化するかを調べて、その期待値を計算すればよいでしょう。
<筆者の解答>
第4問
関数の増減を調べる問題です。
(1)素直にf''(x)を計算すればよいです。
(2) (1)の結果からf'(x)は単調減少で、x→-1のときf'(x)→+∞、x→1のときf'(x)→-∞となるので、f'(x0)=0となるx0がただ一つ存在します。x0は指数をとることでaの式で表現できます。
(3) f(0)=0と、f(x)のx→±1での極限がともに負の有限値になることから、f(x)の増減表が書けて、そこから題意が示せます。
(4) (3)までで調べた条件からグラフを書きます。(1)からグラフは上凸になることにも注意すべきです。まぁ、f(x0)の値は計算してもあまりきれいな値になりませんので、わざわざ計算しなくていいかと。
<筆者の解答>
第5問
2つの円柱の共通部分の体積を求める問題です。
(1) 何も言われなくても、平面x=uで切った断面の面積を考えるのが体積計算の基本です。C1,C2はともにxy平面について対称なので0≦u≦1だけ考えれば十分で、断面は長方形になります。断面がy=1/2を横切るか否かでuの値の場合分けが発生することに注意です。
(2) (1)の結果をuで積分するだけです。
<筆者の解答>
第6問
行列の証明問題です。
(1)ケーリーハミルトンの定理の証明そのものです。A^2を直接計算して、各成分から無理やりx=a+dを抽出してあげましょう。
(2)「同値性」の証明なので、「A^3=E, A≠EならばA^2+A+E=O」と「A^2+A+E=OならばA^3=E, A≠E」の両方を示す必要があります。後者はただ計算するだけなので簡単ですが、前者は(1)で登場したx,yをフル活用する必要があります。
(3)でも登場しますが、「AがEの定数倍でないとき、pA+qE=Oならp=q=0」という性質を使っていきます。
(3) (2)の結果を使うと、「A^6=EかつA^2≠E」は「A^4 +A^2+E=O」と言い換えることができます。この式を使って(1)のx,yを求めてA^3を計算してあげましょう。
<筆者の解答>