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平成の東北大理系後期数学 -1998年-

このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

21回目の今回は1998年になります。

 

第1問

 

行列の計算問題です。

 

(1) A^2を直接計算したほうが早いでしょう。

 

(2)こちらも、与式に行列の式を直接代入して計算するのが早いと思います。ここで、ようやくa~cが整数という知見が生かされ、p~sの特定に役立ちます。

 

この(2)でやっている操作は「行列の対角化」そのものです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

確率の問題です。

 

(1)n-1個の「+」(ないし「-」)と1個の「-」(ないし「+」)の並び替えを考えればよいのですが、n=1の場合はもちろん、n=2の場合も例外扱いになることに注意が必要です。

 

(2) 1つ+-の並びが決まると、全ての符号を逆にした対になる並びが必ず存在します。つまり、各kについて場合の数は必ず偶数になります。

 

(3)k個の同符号の塊が、並びの端にあるのかそうでないかで場合分けして場合の数を調べるとよいでしょう。ここでもn=1,2が例外扱いとなり、かつn≧3の場合でもk=nの場合が例外扱いとなることに注意です。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

等差数列の逆数の和に関する問題です。問題文からa≠0であり、かつ常にan≠0になるという前提のもと解いていくことにします。

 

実際に極限をとる和を計算すると、nの成分が消えてしまうd=0の場合が例外扱いとなります。d≠0の場合は部分分数分解を使って和を計算するタイプです。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

立体の体積を計算する問題です。

 

(1) (2)

ベクトルを使って、x~zをtとuの式で表現するのが第1です。そこからtを消去すれば(2)の答えになります。

 

(3)あまり問題文が良くないと思います。y=1, z=0で囲むのはいいのですが、いかんせんuの範囲を0<u<1と正の範囲に限定した問題設定になっているため、yの下限をy=0にすればいいのかy=-1にすればいいのかが問題文だけから判断ができません。答案では安全側にとってy=-1を下限としました。

 

いずれにせよ、y=uでの立体の断面積を求めてuで積分する形で体積は求まります。

 

立体の断面は(2)の式から概形を書くことができ、面積計算の積分もさほど難しくなく、最初の式からは想像できないくらいにはスッキリした式になります。

 

さて、ここまではuがプラスの領域しか考えてきませんでしたが、実はuがマイナスだとしても断面積の式はu=0について対称な式になるので、体積はuがプラスの部分を2倍すれば片が付きます。

 

<筆者の解答>

 

第5問

 

三角関数の最大最小を考える問題です。f(θ)の式が、直接θで微分して増減を調べるにはゴツイ形をしているので、変数変換して考える、という趣旨です。

 

(1) 典型問題です。xの式を2乗することで、sinθcosθもxだけの式で書けることを利用します。最後のルートを外す場面で絶対値を忘れないようにしましょう。

 

(2) (1)で求まった式に絶対値が付いているので、xの値で場合分けして絶対値を外し、グラフにしてあげればよいでしょう。xの取りうる値の確認を忘れずに。

 

<筆者の解答>

 

第6問

 

楕円の接線に関する極方程式の問題です。

 

(1)これは教科書レベルでしょう。OPが法線ベクトルなので、求める直線lの式で、xの係数はOPのx成分、yの係数はOPのy成分となります。

 

(2) 早い話が、(1)で考えた直線lが楕円の接線になっていればいいわけです。接点の座標が(acosφ, bsinφ)と書けることを利用してそこでの接線の式を求めて、それが(1)と一致するようにr,θの条件を決めていきます。

 

<筆者の解答>