私大文系入試で最高難易度と呼び声の高い、早稲田大学商学部の数学の問題を解いていきます。
17回目の今回は2006年です。
第1問(1)
多項式の割り算に関する問題です。
与式がまずx+1で割り切れ、なおかつその商もx+1で割り切れるようにa,bを決めていきます。因数定理を使えばよいでしょう。
<筆者の解答>
第1問(2)
空間内で角度の等しい条件下での点の軌跡を求める問題です。
角度が等しいので、それにcosをとった値も当然等しくなります。なので、内積の情報を使ってひたすら式変形していきます。
<筆者の解答>
第1問(3)
シグマの計算問題です。
f(n)はこのままだとシグマが計算できないので、とりあえず分母を有利化してみましょう。すると、「番号がずれた差」の形にできるので、Σを取ると間が次々に相殺されることになります。
<筆者の解答>
第1問(4)
cosの和を計算する問題です。これは発想力が必要な難問です。
一見してcos120は即座に計算できますが、残りの3つは綺麗に値が計算できませんね。なので、cos120は放置し、残りの3つを何とかまとめて処理したいです。
まずcos160は角度が大きすぎるので-cos20と角度を小さくしておきます。次にcos40+cos80は、和積の公式を使うことでcos20と計算できます。ということで、cos120以外の3つは、足すとなんと0になってしまうと分かります。
これを初見で見つけるのは相当厳しいと思います。
なんでこのアイデアを思いつけたかが、次に紹介する別解にあります。
別解は、複素数を使う方法です。角度を40ずつ回転させた9つの複素数αk=cos(40k)+isin(40k)を解に持つ9次方程式はz^9=1だとわかり、解と係数の関係から、8次の項の係数が0なので、αkを全部足した合計が0になることが分かります。
この関係式で実部だけに注目すれば、
cos0+cos40+cos80+cos160+cos200+cos240+cos280+cos320=0が分かります。
cos0は1ですし、cos200以降の和は、cos40+cos80+cos120+cos160と等しくなるので、結果cos40+cos80+cos120+cos160=-1/2が分かる、という筋書きです。
この結果を予測してたからこそ、cos120を放置すれば残りの3つの合計が0だなと予測できて上記の変形を思いつけた、という種明かしになります。
<筆者の解答>
第2問
放物線に関する面積の問題です。
(1)接線の式を計算して連立すればよいでしょう。Pのx座標はaとbの中間になるというのは有名な性質です。
(2)定義通りに積分計算でS,Tを計算してあげます。T=2Sになるというのも、放物線の有名な性質です。
(3) aとbの関係式を求めて、Pの座標からa,bを消去すればお終いです。
<筆者の解答>
第3問
整数の関数に関する問題です。正直、これは(1)だけやって捨てるのが試験場では正解だったと思います。私自身(2)の解法を思いつくのに1時間以上かかってますので。
(1) とりあえずルールに従って計算するだけです。
(2)以降は難問です。
f(n)の挙動を調べようとn=1からn=16あたりまで調べても規則性はいまいち見えてきません。f(2n+1)の式から一般項を何とか調べようとしても、nの偶奇で場合分けが起こるし、その後も何度も偶奇の場合分けをする羽目になり埒があきません。
ここで、(1)の結果を見てようやく閃いた規則が、
「f(n)は、nを『2進法』で表現したときの『1』の個数」です。ここで2進法が登場するとは露ほども思いませんでしたね・・・試験場で思いつくのは無理ゲーにもほどがあるでしょう。
実際にそう仮定すると(ii)の成立が確かめられます。
ということで、2006以下の自然数で、2進法にしたときに「1の個数」が最大になるものを探します。
2006以下の最大の2進数は2^10=1024なので、最大11個作れそう・・・と思いきや、
2進法で11個1が並ぶ数は、2^10+2^9+・・・+2+1=2^11 -1 =2047となって、残念ながら2006をオーバーしてしまいます。
なので、1は最大10個になりそうだと予想して、そうなるnを探すと2047-64=1983が無事見つかります。
(3) 結局求めるnは、2047-2^k (k=6,7,8,9,10)の5つに限られるので、すべて計算します。
<筆者の解答>