このシリーズでは、東京大学の後期の数学の問題を解いていきます。
最終回の今回は1990年です。
第1問
正方形を3:1に面積を分けられる条件を考える問題です。とにかく、領域を調べるまでが長い問題です(領域さえ求まれば面積計算は瞬殺です)。
基本的には、正方形を3:1に分割「できる」直線の通過領域を調べるのがメインの作業になります。それ以外の場所こそが、条件を満たすPの存在領域になります。
正方形を2分する直線には大きく2パターンがあり、「隣り合う2辺と交わる」か「向かい合い2辺と交わる」の2つです。それぞれについて直線の通過領域を調べていきます。
対称性が高いので、前者の場合は4隅の内の1つに限定して調査して最終的に90°ずつ回転、後者の場合は横に割った場合で調べて90°回転で縦に割った場合を追加する、という格好で調べることになります。
通過領域はいずれも順像法の方が調べやすいと思います。
<筆者の解答>
第2問
6角形の面積を最大化する問題です。
(1)Aは60°回転の行列なので、(xi, yi)は比較的簡単にできます。
そのうえで、P6が(0,0)になる条件を考えてあげればよいでしょう。
(2) (3)を見越して、a1-a4=kと一般化した形でHの面積を計算していきます。aiの合計が6になるという情報から、a2+a4+a6がkの式で求まり、a1,a3,a5が消去できます。
Hは内角が全て120°の6角形になり、H全体を包む長方形から4隅の直角三角形を引く、という形でHの面積は計算できます。
面積を計算していくと、a2, a4が塊になる部分が多く登場するので、さらにa2+a4=mとおいて、面積をa2, mについて平方完成していきます。これによって、kを固定したときのHの面積の最大値が分かります。
あとはk=1を代入してお終いです。
(3) 0<a2+a4+a6<6の条件からkの範囲が求まるので、あとは(2)の式でkを動かして最大化してあげればOKです。
結果はk=0,つまりa1=a2=a3=a4=a5=a6=1の時(Hが正6角形の時)に面積が最大になり、いかにもという感じですね。
<筆者の解答>
第3問
経路の個数を数える問題です。
(1)実際に図を描いて、力ずくで調べるほかないでしょう。
(2) Qn+1において、BCの中点をD, CAの中点をE, ABの中点をFとして、AからBに到着するまでにC,D,E,Fどんな経由の仕方があり得るかを書き出していきます。実はこの経路の概略は、(1)ですでに調べているものになります。
この各経路について、途中xn, ynがどんな感じに適用できるかを考えて漸化式を求めればよいでしょう。各Qnの1辺だけ通過する経路はxn通り、2辺とも通過する経路はyn通り、と言った感じです。
(3) (2)で求めた漸化式に、(1)の結果を代入すればお終いです。
<筆者の解答>