ちょぴん先生の数学部屋

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平成の京府医大数学 -1999年-

このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。

 

24回目の今回は1999年です。

(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます!)

第1問

グラフの対称性に関する問題です。

 

(1)対称性を作りやすい関数として三角関数があります。特にcosであれば、極値をとるxで必ず対称となるので考えやすいです。よって、x=aとx=bでともに極値を取るようなcos関数を考えることにします。

 

(2) x=aで対称ならf(x)=f(2a-x)が恒等式に、x=bで対称ならf(x)=f(2b-x)が恒等式になります。ということは、両方で対称なら、f(2a-x)=f(2b-x)が恒等式となり、X=2a-xと変換するとf(X)=f(X+2b-2a)がXの恒等式となります。

これは、f(x)が周期2b-2aの「周期関数」になっていることを意味します。

 

定数関数以外の整式では、「周期関数」になりようがないですね。

 

<筆者の解答>

 

第2問

またまた恒等式に関する問題です。

 

sinとcosの性質を使ってf(-sint)=f(sint), g(-cost)=g(cost)をそれぞれ確かめれば、f(x), g(x)が偶関数だと言えます。

 

となると、f(sint)は(sint)^2 = 1- (cost)^2の多項式になるので、fとgで次数が一致するのは当たり前ですね。

 

<筆者の解答>

 

第3問

複素数が絡んだ無限級数の計算問題です。

 

(1)当たり前の事実を証明する問題ですが、|α|=rとすると、|α^n|=r^nとなることを利用します。これでよく知ってる実数の世界に落とし込めたので簡単です。

 

(2)等比数列の和は、公比が虚数であっても実数の時と同様に計算してよいので、最後に(1)の結果を使えばOKです。

 

(3) C+iSを計算すると、(2)の結果が利用出来て楽です。

このように、実数だけの無限和が、複素数を利用することで簡単に計算できるというのが大事なポイントです。

 

<筆者の解答>

 

第4問

行列を絡めた融合問題で、全体的に発想力が必要な難問です。

 

まず条件[1]~[3]を翻訳することが第1歩です。

[1]については「どの行も1の個数はa個」、[2]については「どの列も1の個数はb個」と比較的簡単に意味が分かります。問題は[3]です。

 

f(i,j,k)=1というのは、k列目に注目したときに「i行目とj行目が1になっている」という意味です。そうすると、[3]は『「i行目とj行目が1になっている」列がp個』という条件がどのi,jについても成り立っている、つまり「どの種類(=どの1の配置)の列もp回登場する」と言うことになります。この[3]の解釈が中々難しいですね。

 

(1)ここまでの結果をまとめると、a=3,b=2,p=1なら、「どの行も1は3個ある」「どの列の1は2個ある」「縦に見たときに1の配置にダブりがない」ということになるので、そうなるTを構成できます。

 

(2)括弧の中のΣはpだと結果が分かっているので、実質i<jとなるような(i,j)の個数を調べる問題と化します。

 

(3)上記のf(i,j,k)の解釈に基づくと、括弧の中身のΣは、「k列目について、『1』となっている行番号の組み合わせ(i,j)の総数」と解釈できます。

 

例えば、k列目に注目したときに、1列目と2列目と4列目が1だったとすると、(i,j)の組み合わせが(1,2), (1,4), (2,4)の3通りとなります。

 

この解釈ができてしまえば、1列当たり1がb個あるので与式が計算できます。

 

(4) (2)と(3)はΣの順番を逆にしただけなので、同じ値にならないとおかしいです。

よって、(2)=(3)から関係式が作れて、あとはma=nbであれば証明したい式になります。

 

ma=nbは両辺とも「Tに含まれる1の総数」となっているので、成り立ってて当たり前の式になります。

 

<筆者の解答>

 

第5問

関数の交点と面積に関する問題です。

 

(1) g(x)=x-1としたとき、f(x)-g(x)=0の実数解が交点のx座標になるので、f(x)-g(x)の増減を微分して調べるとよいでしょう。

 

(2) (1)の実数解をαと文字でおいて処理していきます。S1, S2ともに計算難易度は比較的低めです。

 

<筆者の解答>