ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

平成の京府医大数学 -1995年-

このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。

 

28回目の今回は1995年です。

(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます!)

第1問

玉の運動について考える問題です。

言うまでもなく問題文の式は、重力のかかった状況下でのニュートン運動方程式です。

 

(1)運動方程式を1回積分すると速度が、2回積分すると玉の座標が求まります。そこから、玉が斜面にぶつかるまでの軌跡が計算できて、そこから着地する座標が求まることになります。そして、その時の時刻も求まって、着地直前の速度vも求まります。

 

ここから、反射直後の速度v'をどう求めるのかがポイントになります。

速度を「斜面に平行な成分」と「斜面に垂直な成分」に分解すると、前者については何も力が加わってないので反社前後で変更なし、後者についてはちょうど逆向きになることになります。

よって、vの「斜面に垂直な成分」だけ符号反転させればv'になることが分かります。

 

(2)

(a) v0=(cosθ, 0, sinθ), x0=0として、n回目に着地する点(xn, 0, xn), n回目の反射直後の速度vnの漸化式を、(1)の結果から構築して解いていく形になります。

 

(b)三角関数を合成することで最大値knが求まります。

 

(c)そのままだと∞×0の不定形になってしまうので、分子の有理化を使うとよいです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

図形を使って積分の値を調べる問題です。

 

(1)中心角がθkとなる2等辺三角形、扇形、直角三角形の面積を比較してあげるとよいです。このとき、Σθk=π/4となることに気付きたい所です。

 

(2)△CAk-1Akで余弦定理を使うと、θkの三角比を全て求めることができるので、その結果を評価していきます。

(※tanについては、n=k=1のときに等号成立するので、「≦」のほうが正しいと思います。(3)を解くうえでは特に影響はないですが。)

 

(3) (1)の結果に(2)の結果を組み合わせてはさみうちに持ち込みます。明らかに区分求積法を使いそうです。

 

<筆者の解答>

 

第3問

集合についての写像の個数と、それを利用した確率計算の問題です。

 

(1)これは写像の用語の定義そのものですので、答案をそのまま見て覚えてください。

 

写像」というと仰々しいですが、要するに関数のようなものです。

最後に出てくる「上への写像」については、例えばf(x)=x^2を考えたときに、「f(x)=1となるxは±1の2つある、f(x)=0となるxは0だけ」のようなものです。

 

(2)f(x)=yとしたときに、yの選び方やxの選び方を調べていきます。

 

(a)1つのxからは1つのyに行きますが、1つのyからはいくつ行先があっても構わず、しかもN(m)の要素を全て使う必要もありません。

なので、1つのxについて対応するyの決め方は全てm通りとなります。

 

(b)1対1対応の時は、

x=1に対応するyは1~mから1つのm通り、x=2に対応するyは残りのm-1個から1つ選ぶm-1通り、という要領で調べていけます。

 

(c)1対1となる(x,y)がm-1組、2対1になる(x,y)が1組あるので、後者から考えていくとよいでしょう。

 

(d)この場合は2パターンあって、

(i) 1対1となる(x,y)がm-2組、2対1になる(x,y)が2組

(ii)1対1となる(x,y)がm-1組、3対1になる(x,y)が1組

があるので、それぞれ調べていきます。

 

(3) 「8このサイコロの目が、1~6を少なくとも1つずつ含む」場合の数を直接調べるのは大変なので、当然(2)の結果を使うんだろうと考えると思いますが、どうするか?

 

k番目のサイコロの出た目をf(k)とすると、まさにfは「N(8)からN(6)の上への写像」そのものになっていることに気付けたでしょうか?これで(2)の(d)が利用できることが分かります。

 

このfの個数こそが考える場合の数で、全部の出方が6^8通りあるので、これで確率が計算できることになります。

 

<筆者の解答>