このシリーズでは、東京医科歯科大学の数学の問題を解いていきます。
最終回の今回は1989年です。
第1問
空間図形に関する問題です。
(1)「外分」というのが見慣れないと思うので説明しておくと、半直線AP上にAQ:QP=4:3となるようなQを、「線分APの外に」設定することです。言葉で説明するよりも答案の図1をご覧頂いた方が早いでしょう。
これをもとに、Pの座標(x,y,z)をQの座標(X,Y,Z)で表すのを目標にしていきます。
(2)R上の点を(r^2, r,0)とすると、(1)のSが球面になっているので、RTが最小になるとき、Tが線分RB上にあることになります(※BはSの中心)。
これでRTの最小値がrの式で書けるので、あとは微分を使ってrを動かして最小化していきましょう。
<筆者の解答>
第2問
微分方程式の問題です。
(1) (ii)の形から「商の微分」が思いつければ勝ちです。
(2)条件から面積が計算できて、g(x)の微分方程式が求まります。すると(1)と同様に「商の微分」を利用して微分方程式が解けることになります。
<筆者の解答>
第3問
確率の問題ですが、集合・写像独特の表現が多くて問題文の解釈が難しい所です。
(1) 「fが1対1の写像になっている」というのは、「f(i)に異なる値を入れたら異なる値になる、逆にf(i)の値が異なればiの値が異なっている」という意味です。このような性質を、写像の専門用語で「単射」と呼びます。
この問題の場合は「1回投げるごとに、違う目が出る」という解釈になります。
(2) K(f)というのは、「f(i)=iとなるようなiを集めたもの」になります。この問題の場合は、f(1)=1, f(2)=2, f(3)≠3, f(4)≠4, f(5)≠5, f(6)≠6, となる状態が、K(f)={1,2}です。
(3)「fがAの上での写像」というのがどういう意味かと言うと、「f(i)がAに含まれる全ての値を取る」ということです。この性質の事を「全射」と呼びます。
今回の場合は、「f(i)が1~6の全ての値を取る」という意味になりますが、結局「fが1対1の写像である」と結論が一緒になっています。
ということで、今回は「f(1)=1, f(2)=2, f(3)≠3, f(4)≠4, f(5)≠5, f(6)≠6でありつつ、f(3)~f(6)が全部異なる値で3~6のどれかになる」ようなf(1)~f(6)の組の数を数えます。
(4) K(f)=空集合というのは、「f(i)=iとなるiが存在しない」、K(f・f)=Aというのは、「全てのiについてf( f(i) )=iになる」という意味になるので、f(1)~f(6)が全部異なる値となりつつそうなるようなf(1)~f(6)の組の数を数えます。それにあたっては、f(1)の値で場合分けして考えると見通しが良くなります。
例えば、f(1)=2とすると自動的にf(2)=1となります。そうなると、f(i)=jのiとjを言えれ変えたものが両方成立すればよさそうなので、残りのf(3)~f(6)の組は、入れ替える2組の選び方3通りとなります。
<筆者の解答>