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令和の京府医大数学 -2022年-

このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。

 

初回の今回は2022年です。

第1問

 

三角形の各辺を同じ比に内分してできる三角形に関する問題です。

 

(1)△ABCと△DEFのそれぞれの重心をベクトルで表現し、それらが一致することを確かめます。

 

(2)底辺の比を利用してTをSの式で計算することを考えます。

 

(3)△DEFの各辺の長さをtの式で計算して、どの辺が斜辺になるのかで場合分けしていきます。やること自体は難しくないですが、計算が煩雑の一言です。

△ABCが直角三角形ということを生かして座標設定し、ベクトルの内積=0で攻めてもよいと思います。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

関数の最大値を考える問題です。

 

(1)これは教科書レベルです。1回微分で増減を、2回微分で凹凸を調べればOKです。

 

(2)こちらが本題と言える問題で、こっちは地獄です。

まず、m,nと変数が2つあると考えにくいので1文字にまとめます。m=5-x, n=5+x (x≧0)とまとめて、g(x)=f(5-x)+f(5+x)の増減を考えていくことにするわけです。

 

増減を調べようと微分しますが、g'(α)=0となるαが求まらないタイプの式になるので、さらにg'(x)の符号を調べる必要があり、煩雑なことになります。

 

なんとかαが3<α<4をみたすことまで調べると、xが3か4の時がg(x)が最大になる候補になることが分かります。

 

あとはg(3)とg(4)を大小比較するのですが、大小関係が一目では分からない式になります。分母のeの次数が大きいものはほとんど数値に影響しないと考えると、g(3)とg(4)の大小は、分母のeの次数が小さいものの大小でほとんど決まりそうです。

その大小は(1)のグラフで調査済みなので、g(4)>g(3)なのではないかとアタリが付きます。

 

そうと分かれば、g(4)-g(3)を実際に計算して評価するのですが、結構シビアな評価で、そのままの形で5/2<e<3を適用してもうまくいきません。第一次数が高すぎて計算すらおぼつかないわけで。

となると、できるだけeを温存する方向で考えた方がよさそうです。その心は因数分解出来てプラスだとはっきりしているeの式を追い出して、残ったものだけについて5/2<e<3を適用する、ということです。そうすると、無事g(4)>g(3)が示せます。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

確率の問題です。

 

(a)~(c)の条件を総合すると、

「赤玉が1個、2個、・・・・,n個入っている箱が、それぞれ一個ずつある」ということに気付けたかが本問を解くカギになります。

 

(1)赤がk個入った箱を選んでその中から赤を取り出す確率を考えれば、pnがシグマの式で書けます。形から極限は区分求積法で計算できそうだと分かります。

 

(2)XとYの両方が実現する確率をrnとすると、qn=rn/pnで計算できます。rnも(1)同様に極限含めて計算できるので、それでqnの極限が求まります。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

特殊な立体に関する計算問題です。

 

(1)上面と下面がそれぞれn本の辺を持ち、上面の各頂点から2本ずつ辺が下面に伸びていることが、図を描くと見えてきます。

 

(2)実質Anの1辺の長さを計算する問題です。上面をn分割して余弦定理を使うのが速いです。

 

(3)下面がxy平面上に、上面が平面z=H上に乗り、それぞれの中心がz軸上に来るように座標を設定してあげると見通しが良いです。下面に対して上面がθだけ回転していることに注意して、縦の辺の長さが(2)の結果と一致するようにHを決めていきます。

 

(4) Anをz=tで切った断面積を考えるのですが、計算地獄ですね。。。

 

断面を切ると、長さが等しい辺が交互に並ぶ2n角形ができ、それをz軸中心にn等分すると2つの2等辺三角形を貼り合わせた四角形になります。

(3)で使った座標の情報から辺の長さが全てtの式で書けるのですが、上下対称になるようにs=t/H-1/2と変数変換すると計算の見通しが良くなります。3つの辺の長さが既知の時の三角形の面積計算は、「ヘロンの公式」が有効です。

(ヘロンの公式:長さa,b,cの三角形の面積はS=√s(s-a)(s-b)(s-c) , s=(a+b+c)/2 )

 

こうして断面積が計算できたのであとはtで積分していけばOKです。

 

正直、この(4)は断面を考えるのがそもそも難しく、かつ面積計算も非常に煩雑で適切に変数変換しないと泥沼に嵌る、というエグい問題でした。

 

<筆者の解答>