このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。
29回目の今回は1994年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます!)
第1問
放物線の線に関する面積の問題です。
(1)こちらは頻出問題です。接線の式を計算して連立→公式で面積導出というテンプレの流れにそのまま従えばOKです。
Cのx座標はAとBの中間にある、放物線と2接線で囲まれる面積は、放物線と直線で挟まれる面積の半分になっている、というのは放物線の有名な性質です。
(2)
(i)KとLを実際に書くと、(1)の面積を合計したものがSになります。
(ii)いかにも複雑なβの式の方を変形してαとSを抽出する方針が良いでしょう。
(iii)答えの予想はつきますが、きちんと論証しようとすると発想力が必要になります。
(ii)の結果から2α+βを最小化すればいいことになりますが、式が複雑すぎてよく分からないことになっています。
注目すべきはβは2乗の和になっているので0以上は確定であり、d1=・・・=dnならβ=0になることです。ここから、αもd1=・・・=dnのときに最小になってくれたら嬉しいわけです。
この証明には知識が必要で、具体的には「コーシーシュワルツの不等式」を使います。コーシーシュワルツの不等式は、「ベクトルの大きさの積≧ベクトルの内積」と言い換えられ、この時に2つのベクトルを(d1,d2,・・・,dn)と(1,1,・・・,1)としてあげるとα≧1/nとなり、d1=・・・=dnのときに等号成立します。
<筆者の解答>
第2問
楕円と直線の1次変換に関する問題です。
(1) Cとlを連立したときに重解を持つ条件を考えますが、q=0のときだけ例外処理が必要です。
(2)l上の点をパラメータ表示し、それをfで変換した点がつねにl'上にある条件を考えることになります。
(3) C1をfで変換してもC1のままであるa~dの条件を詰めていきます。(2)同様C1上の点をパラメータ表示して考えていきます。
同様にするとC2をgで変換してもC2のままである条件も求まりますが、上記の条件がこの条件を満たすことを確かめられればOKです。
<筆者の解答>
第3問
確率の問題です。
(1)n回中Aがα点、Bがβ点とった時に、n回目で決着がつくならα+β=n, |α-β|=2が成立するので、α,βがnの式で書けます。このときにα,βが整数なので、nが偶数でないといけないと分かります。
(2)得点の推移を考えていくと、決着がつくまでは「A→B」「B→A」という得点の仕方が繰り返されることになり、Aが勝って決着するなら、最後の2回で「A→A」となればよいわけです。
よって、ちょうど2m回目にAが勝つ確率pmが計算でき、それの無限級数を取ればAが勝つ確率が計算できます。
それにしても、何で「確率はいくつと考えられるか?」という問い方をしてるんでしょうね?普通に「Aが勝つ確率を求めよ」でいいと思うんですが。
(2) 2m回まで決着が付かない確率qmがm→∞で0になることを言えればいいと思います。Bが勝つ確率と(2)の結果を足すと1になる、でも説明になりますね。
<筆者の解答>
第4問
積分に関する問題です。
(1)問題文に従って素直に穴埋めしていけばよいです。
前半(ア、イ)については、|n(x-p)|と1との大小関係が肝になります。
後半(ケ、コ)については、In,k(p)がnの負のべきの和になるので、n→∞ではnが生きている項についてはすべて0になり、nが消えている項だけが生き残ります。
(2)正直完璧にできた自信はないですが、ほぼほぼ以下のような方針になります。
f(x)=Σak*x^k (m次式)として、与えられた積分をIとすると、I=0ならΣak*In,k(p)=0となります。
ここからa0=a1=a2=・・・・=am=0であることが示せればOKということになります。
このとき、Σak*In,k(p)=0はa0~amに関する無限個の連立方程式になりますが、未知数はa0~amのm+1個(つまり有限個)しかないわけです。
未知数の数と方程式の数が揃っていれば解けますが、そうではないのでa0=a1=a2=・・・・=am=0以外に解がないと言え「そう」です。
連立方程式を行列の形で書いたときの係数行列(In,k(p)を並べてできる行列)が必ず逆行列を持つといえれば、確信をもってa0=a1=a2=・・・・=am=0以外に解がないと言えるのですが(たぶんそれで合ってると思いますが)、それに確証がないので自信がないと述べた次第です・・・
これ以外にうまい解法も思いつかなかったので、これでご容赦ください。
<筆者の解答>