このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。
30回目の今回は1993年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます!)
第1問
引数を整数に制限した場合の2次関数の最大値を考える問題です。
xが実数全体を動くならf(x)の最大値は平方完成で容易に求まりますが、今回はxが整数に制限されているので、f(x)の軸に最も近い整数値nでf(x)は最大となります。
軸の位置がM=(m^2+3)/2(m+1)となるので、それに最も近い整数nを探していきます。Mを帯分数の形に直すと(m-1)/2 + 2/(m+1)となるので、mの偶奇による場合分けが発生することが分かります。そのうえでMの整数部分と小数部分をはっきりさせ、小数部分が0.5より大きいのか小さいのかを検討していきます。
<筆者の解答>
第2問
1次変換に関する問題です。
(1)と(2)をそれぞれ同値な数式に直して、それらが一致することを確かめる方針でよいでしょう。
(1)についてはl :px+qy=r (r≠0, (p,q)≠(0,0) )として検討し、(2)についてはP=(x,y)≠(0,0)として検討していきます。
いずれも、行列×(0でないベクトル)=0の形なら、係数行列が逆行列を持ってはいけない、という条件を処理していきます。
<筆者の解答>
第3問
確率の問題で、非常に簡単な問題です。
n回後にC,Dにいる確率をcn, dnとして、それらからan~dnの漸化式が求まり、an+bn+cn+dn=1から簡単にできて解けるという流れです。
<筆者の解答>
第4問
積分の極限を計算する問題です。
(1)0≦sinx≦1なので、y=e^(-x)sinxのグラフは、y=e^(-x)のグラフからはみ出すことはありません。それに注意しつつ、微分で凹凸と増減を調べて描けばよいです。
(2)これはよく見かける問題です。
積分の中に絶対値が入っているので、それを外さないことには始まりません。よくあるテクニックですが、積分区間をkπ~(k+1)πのようにπごとに区切ってkの偶奇で場合分けすると、絶対値を外すことができます。
そうすると、Inは等比数列の和なので直接計算でき、極限計算も容易です。
<筆者の解答>