このシリーズでは、日本医科大学の数学の問題を解いていきます。
21回目の今回は2001年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)
※誤って2002年と2001年を順番を逆にして解いてしまったので、2001の方からupします。
第1問
積分の計算問題です。只々煩雑な計算をやらされるだけという感じで、面白みはあまりない問題です。
(1) t=x-mと変数変換すると見通しよく計算できます。こうすることで積分区間の両端が符合違いで等しくなるので、偶関数・奇関数の性質をうまく使えます。最後のsの関数の最小化は、これまでの結果を使って平方完成をしていくことで考えられます。
(2)定番通りに変数変換をすればよいのですが、aの符号によって積分区間の変わり方が変化することに注意が必要です。
(1)同様にyg(y)の積分とy^2g(y)の積分を考えてあげることで関数の最小化ができます。
(3) (2)の結果にa=1/d, b=-m/dを代入するだけですね。
<筆者の解答>
第2問
複素数平面に関する問題です。
(1)の内容は全部に共通しますが、(2)と(3)は独立した小問になっています。
(1)ド・モアブルの定理によって即座に計算できます。
(2)まずΣの中身を展開して整理するとkとは無関係の値となり、Sの式が求まります。
次にkについてですが、(1)の結果から、mn/lが偶数になるようなnの最小値がkとなります。(c)においては、mの偶奇による場合分けが発生することに注意です。
(3)wnの式を楕円の式に代入したときに恒等式となるように、f(n,m,l)を逆算していくのが大まかな方針ですが、問題は、この「楕円の式」をどう処理するかです。
問題文にある楕円(Cとします)は、軸が45°傾いているので、このままではx,yの式に綺麗に直りません。ここは、慣れ親しんだ式で表現するため、C全体を-45°原点の周りに回転した図形C'を考えるとよいでしょう。これに引きずられる形でwnも-45°回転する必要があるのですが、複素数平面での-45°回転は、cos(-45°)+isin(-45°)を掛け算すれば事足りるのでした。
この変形に気付けたかがカギとなる問題でした。
<筆者の解答>
第3問
点の移動にかかる経過時間の増減を調べる問題です。
(1)これは流石に説明不要でしょう。小学生でも解ける簡単な問題です。
(2)(3)
単純にAとBの距離を計算すればよいでしょう。
BがLの焦点で、Lの準線がy=-1となっていることに気付けると、その結果が妥当性のあるものだと再確認できます。
(4)(5)
wは積分によって計算されるのですが、rと2の大小関係で積分区間の上下が逆転するので、それによる場合分けが発生することになります。
(6)
これまでの結果を使ってdT/drの符号を調べていきます。cと無関係にr>2では単調増加、r≦0では単調減少だと分かるので、問題は0<r<2での挙動となります。実際にdT/dr=0となるrがこの範囲にあるか否かがcの値で変わってくるので、cによる場合分けが発生することに要注意です。
(7) 実質∫√(1+x^2)dxのタイプの積分を計算することに帰着しますが、この積分はノーヒントでは非常に難しいです。ここはありがたく問題文のヒントを使わせて頂いて、変数変換してしまいましょう。
一般的に、このタイプの積分はこのような「双曲線関数」を使って変数変換し解くのが定石となります。
<筆者の解答>