ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の奈良県立医大前期数学 -2004年-

このシリーズでは、奈良県立医科大学の前期の数学の問題を解いていきます。

 

19回目の今回は2004年です。

第1問

小問集合です。

 

(1)確率の問題です。

赤玉が奇数個なら5個か3個しかないので、それぞれの確率を足せばOKです。

 

(2)無限級数の計算問題です。

2つの無限等比級数に直して計算します。

 

(3)行列の問題です。

逆行列を持たない条件は逆行列が0になることなので、それをaの方程式にすればOKです。方程式を解くと、実数解と虚数解の両方が出て来て、問題文には特に実数だとは明記されていないので、3つとも答えにすることができます。

 

ただ、「複素数のルート」というのが「多価関数」という厄介な代物になる(詳しくは大学の「複素関数論」で勉強します)ので、この問題では実数に限定したほうが無難でしょうね。

 

<筆者の解答>

 

第2問

集合に関する問題です。純粋数学チックで、慣れてないと解きづらい問題です。

 

(1)「集合Aが集合Bに含まれる」という概念は、数学的には「xがAの要素なら、必ずxはBの要素にもなっている」と言い換えることができるので、後者の定義に従って証明していきます。

 

左辺の集合に含まれている要素が偶数か奇数かで考え方が変わるので、場合分けが発生します。

 

(2) 「7」が各集合に入っているか否かに注目して考えればよいでしょう。

 

(3)経験が要る証明方法ですが、気付けば簡単です。

Aの要素のうち一番小さいものが2aだとすると、A'の要素の内うち一番小さいものはaとなります。最小のものがAとA'とで食い違っているので、A≠A'だといえます。

 

<筆者の解答>

 

第3問

複素共役に関する公式証明の問題です。

 

(1)zをz=a+ibと実部虚部に分けてから計算すればよいでしょう。

 

(2)問題文の指示通り帰納法で証明します。n=1の場合は(1)で証明済みなので、n=kでの成立を仮定したときにn=k+1で成り立つかを確認します。

 

ポイントはz0~zkまでの複素数を1かたまりと見なせば(1)が利用できるという点です。

 

(3) これは有名な性質です。方程式全体で複素共役を取ってしまえば、(2)の結果を使ってz*も解になっていると示せます。

 

<筆者の解答>

 

第4問

三角関数に関する問題です。

 

(1) OAの式を求めれば、公式に当てはめるのみですね。この答えをdとします。

 

(2) △OAPは、底辺OA, 高さdの三角形と見なせるので、そこから面積を計算できます。最大になるのは、|θ-α|=π/2のときですね。

 

(3) (2)の各場合に応じてOA・OPを計算して最大化していきます。aとbの大小関係が特に設定されていないので、最終結果に絶対値を付けることを忘れないように。

 

<筆者の解答>

 

第5問

面積の計算問題です。

 

まずは曲線の概形を知る必要がありますが、yをxで微分しても綺麗な式にならずうまく増減表が書けません。

 

面積を計算する上では極値などの細かい情報は不要なので、どの点でx軸と交わるか、正負がどうなってるか、辺りを調べれば面積を計算するには十分な情報が得られます。

 

これができれば、あとは積分で面積を計算するだけです。logが入ってる積分は部分積分でlogを解消するのが鉄則です。今回はlogの中身が分数になっているので、一旦引き算の形に分解してから積分していきます。また、分数関数の積分は、分子の次数を分母の次数よりもできる限り小さくするのが定石となります。

 

<筆者の解答>