このシリーズでは、奈良県立医科大学の前期の数学の問題を解いていきます。
20回目の今回は2003年です。
第1問
小問集合です。
(1)確率の問題で、実質(m,n)の組を探す問題です。
m≦nかつm^2 -4n≧0を満たす(m,n)は、4個しかありません。(m^2≧4n≧4mからm≧4に絞ることができます。)
だから確率は4/36=1/9だ!!とやってはダメです。ここがこの問題の引っかけポイントで、例えば(m,n)=(5,6)については「サイコロの目が5と6だった」ということなので、サイコロにA, Bと名前を付けたとき、「Aの目が5, Bの目が6」と「Aの目が6, Bの目が5」の2つの場合があるわけです。これらを区別しないと「同様に確からしく」確率計算できないのです。
(2)ベクトルの問題です。Aを始点にしたベクトルで考えていけばよいでしょう。
(3)極限の計算問題です。
そのままだと0/0の不定形になってしまうので、有理化を使って0になってしまう原因を約分で消してしまいましょう。
<筆者の解答>
第2問
約数に関する集合の問題です。
(1)左辺はmとnの公約数の集合なので、言い換えればmとnの最大公約数dの約数の集合になります。一方の右辺についてはm+nがdで割り切れるので、dの約数を含んでいることになります。
(2) 右辺はmとnのそれぞれの約数を全て含んでいます。
(3)「mはD(n)の要素」が「mはnの約数」と言い換えられることを利用します。
<筆者の解答>
第3問
行列に関する問題です。
ケーリーハミルトンの定理を使って、方程式をpA+qE=0の形にしてp=q=0からa,xを求めていくのですが、AがEの定数倍の時はこの方法が使えません。なので、その場合(今回の場合だとa=0のとき)は例外処理しないといけません。
<筆者の解答>
第4問
接線に絡んだ関数の増減を考える問題です。
(1)接線がx軸と平行でなければQが存在するので、その下でQの座標を計算しましょう。
QとRの左右関係によってS(t)の場合分けが発生することに注意して、微分していきます。
(2)増減表から「t=0のときS(t)は最小」と言いたくなりますが、t=0は定義域に入っていないので、最小値はありません。
<筆者の解答>
第5問
(1)cosの累乗を直接積分するのは難しいので、一旦両辺を微分して考えていきます。すると、2項定理を使って係数比較すればいいという発想が浮かんできます。kの偶奇によって場合分けが発生することに注意です。
また、nについてはakの結果の仕様上2m-1と2mの2つの答えが考えられます。
(2) (1)の結果を利用して、実際にg(t)を作ることを考えましょう。
<筆者の解答>