ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の奈良県立医大前期数学 -2002年-

このシリーズでは、奈良県立医科大学の前期の数学の問題を解いていきます。

 

21回目の今回は2002年です。

第1問

小問集合です。

 

(1)確率の問題です。

引いたカードがxとy (1≦x<y≦10)となる確率は、一律で1/10C2=1/45となります。ということでΣxy/45を計算すれば期待値が求まります。

 

(2)図形問題です。

2つの直角三角形と1つの台形に分解して面積を計算し最後に足し上げる、というのが汎用性の高い解法だと思います。その際75°の三角比が必要ですが、これは半角の公式から計算できます。

 

別解としては、実は対角線BDを引くと、直角三角形と別の三角形に分解できるので、それぞれの面積を計算するという方法があります。

 

(3) 空間ベクトルに関する問題です。ベクトルAB, CDの内積の情報から角度を調べればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第2問

行列に関する問題です。

 

(1)MかつNのとき、Aはa=-3d, b=3t, c=2tの形で書けて、逆行列を持たない条件は行列式=0で表せ、今回の場合はそれはA=Oとなることと完全に同値になります。

 

(2) 要するに(a+3d) (2b-3c)が0になることを確かめればOKです。

 

<筆者の解答>

 

第3問

数列に関する問題です。

 

(1)Σの中身を、「番号ずれの差」の形にすることで、途中が次々に相殺される形にできます。

 

(2) bn=b1×r^(n-1)とすると、a1,a2の情報からb1=3と求まるので、結局、an+1 -2an = 3×r^(n-1)という漸化式を解くことになります。

 

このタイプの漸化式は、全体を右辺の等比数列で割り算するのが定石なのですが、r=0だと割り算ができないので、まずこのr=0の場合を例外扱いする必要があります。

 

r≠0の場合は割り算することで単純な2項間漸化式にできるのですが、r=2の場合のみ特性方程式が解けない「等差数列」の形になるので、r=2も例外扱いします。

 

ということで、r=0の場合、r=2の場合、それ以外の場合、という3つの場合分けが発生することになります。

 

<筆者の解答>

 

第4問

複素数平面に関する問題です。

 

(1) 複素数平面上で、θだけ回転させたければ「cosθ+isinθをかければよい」というのが最大のポイントです。

ベクトルと同じ要領でcを求め、次いでdを計算していきます。

 

この(1)ができてしまえば、(2)以降は芋づる式にできていきます。

 

(2)dの虚部=0となる条件を考えればOKです。

 

(3) (2)に加えて、dの実部=0となる条件を考えて連立すればOKです。

 

(4) dの実部=0となる条件と、L>0, m>0を利用します。

虚数に0を含めるか否かが解釈の分かれ所ですが、含めない場合は(3)の結果を除けばよいだけです。

 

<筆者の解答>

 

第5問

絶対値付きの積分で書かれた関数に関する問題です。

 

(1)xの値によって絶対値の外れ方が変わるので、場合分けします。

 

(2)x≦0では単調減少、x≧1では単調増加なことが明らかなので、実質0≦x≦1での増減だけ考えればOKです。

 

(3) (2)で調べた結果をグラフにまとめればOKです。

 

<筆者の解答>