ちょぴん先生の数学部屋

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平成の慶応理工数学 1997年

私立最難関の一角、慶應義塾大学理工学部の問題を取り上げます。

 

今回は1997年です。

第1問

積分についての問題です。

 

ア:2つの積分の結果を連立することでp,qを確定させます。

 

イ、ウ:イについては円の1/4の面積になることから分かり、ウはx=sinθと置換しても直接原始関数を調べる方法でも計算可能です。

 

エ、オ:これまでの結果を使って積分を一通り計算しきって平方完成すればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第2問

面積の増減を調べる図形問題です。

 

カ、キ:直角三角形に注目して三平方の定理を使っていきます。

 

ク、ケ:相似の関係からPD:PF=DE:FQを使うことでr,aの関係式が求まるので、それをrについて解いていきます。最終的にはrの3次方程式となりますが、r=(1-a)tと変数変換しないと中々面倒ですね。ケは直角三角形の面積なので、これまでの情報から計算できます。

 

コ、サ:とにかく微分を計算しきるに尽きる問題で、できるだけ展開せずに共通因数を括りだしていきましょう。

 

<筆者の解答>

 

第3問

確率の問題で、背景に「ポアソン分布」があると思われる問題です。

 

シ:教科書通りに計算すればよいでしょう。このようなnCk×p^k×(1-p)^(n-k)の形の確率分布は「2項分布」と呼ばれます。

 

ス、セ:2項係数をうまく変形することで、2項定理に帰着できます。一般に、2項分布に従う確率変数の期待値はnpとなることが知られており、今回の結果もそれと一致しています。

直感的にも、n個の粒がm個のエリアに均等に落ちるのだから、期待値はn/mになりそうだと想像が付きます。

 

ソ:実質分母と分子がともにk個の積の形になるので、1個1個ばらして極限を考えてあげればよいでしょう。

 

タ:これまでの結果と問題文のヒントを使うことで容易に計算できます。

 

ちなみに、スで求まった期待値を一般にλとして、λを一定に固定した上でn→∞としてできる確率の極限を「平均値λのポアソン分布」と呼び、保険料の設定などに応用される重要な確率分布の一つとなります。今回はλ=1の場合のポアソン分布の式を計算していたことになります。

 

λ=n/mを一定にしてn→∞にするということは、m→∞つまり元の確率1/mが0に行く極限を取っていることと同じです。つまり「めったに起きない出来事が、何回起こるか?」について考える確率分布がポアソン分布だと言えます。

 

<筆者の解答>

 

第4問

行列の証明問題です。

 

(1)の式とAの定義式とでは微妙に噛み合わせが悪いので、先に冒頭の式を成立させ得るAの形を決めてしまいましょう。その上で、(1)の左辺と右辺をそれぞれ計算して一致すること確かめていきます。

 

(2)左辺において、Bを左側に出してあげれば(1)の結果が直で使えます。

 

<筆者の解答>

 

第5問

整数問題です。

(注:(3)のb+1は、bn+1の誤植だと思われます)

 

(1) 余りが一致するということは、a^3 -aが3で割り切れることと同じなので、こちらを証明していきます。因数分解すれば「連続する3整数の積」になるので、どれかは必ず3の倍数になりますね。

 

(2) こちらもr^3 -t^3を因数分解して考えればよいですね。

 

(3)指示通りに帰納法で考えていけばよく、その際に(1), (2)の結果を使っていきます。

 

<筆者の解答>