ちょぴん先生の数学部屋

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平成の慶応理工数学 1996年

私立最難関の一角、慶應義塾大学理工学部の問題を取り上げます。

 

今回は1996年です。

第1問

楕円に関する問題です。

 

ア、イ:楕円とはそもそも「2つの焦点との距離の和が一定となる点の軌跡」でしたので、この定義に従って考えてあげればよいでしょう。

 

ウ~オ:a,b,cをs,tの式で表現して、ア、イの式に代入して連立していけばよいです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

積分とその極限に関する問題で、背景には「ベータ関数」「ガンマ関数」という概念がある問題となります。

 

カ:m,nの増減に注意して、部分積分をしていきましょう。

 

キ:元の式でmをm+nに、nを0に置き換えてあげれば計算できます。

 

ク:カとキを繰り返し使っていくことで、階乗を使った式で書けます。ここで特にp=1の場合、この積分の事を「ベータ関数」と呼びます(m,nに関する関数です)。

 

ケ:mが関わる部分だけ残すと、分母分子共にn+1個の因数の積にできます。なので、それを1個1個分けて極限を考えればよいでしょう。最終結果はn!と綺麗な結果になります。

そもそも積分の式の状態でp=m→∞とすると、∫t^n×e^(-t)dt (0≦t<∞) =n!の形となり、この左辺の事を「ガンマ関数」と呼びます。ガンマ関数は、いわば「階乗」の一般化になっていて、これを使うことでnが0以上の整数でない値の時にも階乗が計算できるようになります。

 

コ:mを1個ずらした値との比を考えて、それと1との大小を考えてあげればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第3問

確率の問題です。

6枚のカードにそれぞれ名前を付けておくと見通しが良くなりますが、条件付確率の計算のオンパレードなので、何を分子に何を分母にすればよいかをよく考える必要があります。

 

サ~ス:赤が表となるのは、「そもそも両面赤を引いた」「片面赤を引いて表として赤を選んだ」の2パターンがあるので、場合分けして計算していきます。条件付確率スについてはシ/サで計算できます。

 

条件付確率を考える際は、「〇なとき」とある確率を分母に置き、「〇かつ△である確率」を分子に置くと考えやすく、以下同様です。

 

セ:上記の考え方に従えば「1枚目の表が赤かつ2枚目の表が青」になる確率を計算すれば、それをサで割れば求まることになります。

「1枚目の表が赤かつ2枚目の表が青」になる確率の計算には、過不足なくパターンを数え上げる必要があります。

 

ソ:セの情報に加えて、「1枚目が両面赤かつ2枚目の表が青」の確率を計算していきます。

 

<筆者の解答>

 

第4問

ベクトルと微分方程式の融合問題です。

 

(1)OP⊥OQ、つまりOP・OQ=0を計算していくと、|OP|^2の微分が0になる、という式が出て来ます。

 

(2) (1)の知見も生かしつつ|v||OP|をひたすら計算するのみです。

 

(3) (2)の結果を使って|OQ|^2を計算すると2乗の形にできます。aとbの符号に特に指定がないので、最終的に|OQ|を出す際は絶対値記号を付けることを忘れないように。

 

<筆者の解答>

 

第5問

立体のxy平面への射影について考える問題で、平面の世界に落として考えていかないと厳しいです。

 

(1)Aの定義式でzを消去してx,yだけの不等式を作りましょう。この結果はz座標の情報だけ殺していて、ちょうどz方向から見たときのAのxy平面に映る影になっています。以後これを「xy平面への射影」と呼ぶことにし、Aの射影をA'とします。

 

(2)Pをπという立体的な平面のまま考えるのはやりにくいので、(1)の考え方を生かしてxy平面に射影してしまいましょう。

Pの射影をP'とすると、A'とは斜辺の場所で一番距離が近くなることが分かります。これを元のπに戻してあげれば、結局「PとAの最短距離=Pと『A'の斜辺に相当するAの辺』との最短距離」とできることが分かります。

 

あとは、その辺上の点をパラメータ表示することでPとの最短距離を調べていきます。

 

(3) Q(P)=(2,1,1)は、xy平面に射影するとA'の頂点の1つとなっています。ということで、「A'の頂点がP'と最も近いAの点」となるようなP'の集合が、求める領域になります。

 

<筆者の解答>