ちょぴん先生の数学部屋

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2020年度 慶応大理工学部 解いてみました。

ついに大学入試の季節がやってきましたので、攻略していきましょう!

第1弾は、慶応の理工学部となります。

 

<概略> (カッコ内は筆者が解くのにかかった時間)

1.(1)(2)で独立した小問集合となっています。小問といっても大分ボリューミーですが。

 (1)複素数を絡めた軌跡の問題。

 (2)2次関数の接線に絡んだ軌跡の問題。 (1,2合わせて32分)

2. 放物線と円の交点の個数に関する問題。 (17分)

3. 箱から状況に応じて球を取り出していく確率の問題。 (38分)

4. 積分方程式の問題。 (14分)

5. 三角形の面積比を出す問題。 (35分)

合計135分 (参考:試験時間120分)

<体感難易度>

易レベル:なし、標準レベル: 1(2),2,4、やや難レベル:1(1),5、難レベル:3

慶応らしく、発想が難しいというよりは、「場合分けが多くて面倒」「計算量が多くてしんどい」問題が多い印象。発想力より処理力と忍耐力を求めているらしい。

 

<個別の感想>

第1問(1)

 

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複素数平面での点の軌跡を考察する問題です。

zの絶対値が一定なので、Cは上半分の半円になることが分かります。あとは、z1,z2を極形式で書いてあげてMを表す複素数を求めてあげればよいです。その際に三角関数の加法定理やら合成やら道具が結構必要ですし、値域などもまじめに考えないと正答にたどり着けないので、三角関数の苦手な人にはかなり辛い問題だと感じました。

 

第1問(2)

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2次関数の接線絡みの軌跡の問題です。オーソドックスに接点を(s, s^2)とでもおいて接線の方程式を出していき、内分点があるのでベクトルを使って処理していくという典型問題だと思います。この小問は是非とも完答したいですね。

 

<筆者の答案>

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第2問

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(1)は因数定理の確認問題といった趣であり、(2)以降は放物線と円とが交わる回数を考える問題となっています。((1)がイマイチ誘導になってない気がしますね)

 

(1)は意外と「何を示せばよいか」が分かりにくいと感じる人がいるかもしれませんね。

「qが,pが成立するための必要条件」というのは、「pが成り立つなら、qも成り立つ」という論理関係になってます。この問題の場合は、「αがP(x)=0の2重解なら、αはP'(x)=0の解でもある」を証明すればよいことになります。

証明自体は、P(x)を式で書いて微分してしまえば簡単にできます。

 

(2)は、最終的にxの4次方程式の解の個数を調べる問題に帰着します。この手の奴はkが絡んだものと,kと関係ないものを分けて、グラフで調べるのが基本です。今回の問題は、kと関係ない部分がxの分数式となります。このまま処理してもいいのですが、計算ミスが嫌だったのでt=1/xと置きなおしてタダのtの4次式に置き換えて処理していきました。こういった小技がミスを防ぐのに役立ちますね。

(3)は、(2)ができていれば問題ないと思います。

 

<筆者の答案>

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第3問

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おなじみの確率の問題です。ポイントになるのは(1)では「出した玉は元に戻す」、(2)(3)では「出した玉は戻さない」とルール変更がある点です。確率の問題では、「戻さない」という条件が入った瞬間に、取り出す順番を考えないといけなくなり面倒くささが跳ね上がることになります。せめてもの救いは、白と赤の個数が同じという点で、この対称性を使うことで、考えるべき場合分けが幾分か減ります。

いずれにせよ、考えうる場合分けの数が非常に多いため、(2)以降は後回しでも問題ないと思います。

 

<筆者の答案>

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第4問

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積分方程式の問題です。文字がx,tと複数出てきているので、「どの文字で積分してるんだっけ」というのを常に意識して計算実行しましょう。煩わしさをなくすため、T=t-xと積分の変数変換をしておけば見通しがよいでしょう。

 

(2)に出てくる奇関数というのは、マイナスを入れたら値もマイナスになる、つまり

g(-x) = -g(x)を満たす関数のことです。逆に(4)に出てくる偶関数とは、マイナスを入れても値が同じ、つまりf(-x)= f(x)となる関数のことを言います。

(3)は、積分区間にxが入っている積分微分する→中身にxを突っ込め!!をやればよいです。

(4)は最終的にlog(x^2+1)の積分計算が問われます。logの入った積分は、隠れた(x)'があるとみなして部分積分するとうまくいくことが多いです。慶応を受ける人であれば、このくらいの積分計算はスパッとできてほしいですね。

 

<筆者の答案>

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第5問

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三角形の面積比を考える問題です。理論上は(最大最小や方程式を解く部分以外は)中学生でも解答可能な問題です。底辺や高さが元の○○倍だから....と考察していきます。

 

が、数字と文字、1次式と2次式の掛け算、通分などが混在して計算ミスが非常に起きやすい問題といえるかと思います。計算を慎重に進めるとともに、出てきた結果の妥当性を確認しましょう。

例えば、(2)であれば、x=0とすれば△EFPは辺が潰れて存在できなくなるので面積は0になるはずだ、などです。(私自身、最大値がマイナスになってしまったことで計算ミスに気づきやり直しました。。。)

(4)は特定の辺上にある点を考えるので、ベクトルで考えるのが吉でしょう。1つの点を2通りのベクトル表示で書いて、2つが一致するはず というロジックです。

 

<筆者の答案>

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このように大学入試の問題をupしていきたいと思います。

<今後のup予定>

・慶応 医学部

・早稲田 理工学部

旧帝大(東大・京大・北海道大・東北大・名古屋大・阪大・九州大)理系/文系 

(※文系は余裕があれば。理系は必ずupします)

東工大 

・一橋大