今年度第13弾である今回以降は、旧帝大の文系の問題をやります。
まずは名古屋大から。
<概略> (カッコ内は筆者が解くのにかかった時間)
1.二次方程式の解・面積最小化(29分)
2. 正三角形・正四面体になる条件 (79分)
3. 領域に含まれる長方形の個数 (34分)
合計142分 (参考:試験時間90分)
<体感難易度>
易レベル:なし 、標準レベル: 1、やや難レベル:3 、難レベル:2
理系の問題もそうでしたが、なかなか骨の折れる問題ばかりでした。特に第2問は着想がうまくいかないと二進も三進もいかない難問です。
理系との共通問題はなかったようです。
第1問
2次方程式の解の配置と、面積の最小化の問題です。
今回のセットでは一番易しい問題ですので、完答を目指したいところです。
(1)は、2次方程式を直接解いて具体的にtの式を出してしまいましょう。その際にa^2のルートをとる場面が出てきますが、絶対値をつけることを忘れないようにしましょう。
tの式が求まってしまえば、絶対値付きのaの不等式を解く形になりますので、難しくないです。
(2)は、絶対値付きの関数の積分ですので、積分区間を適切に区切って場合分けです。
(1)で求めたtをα、βとおいて、かつ解の係数の関係を利用できると、積分計算の見通しが良くなります。tの式を直接代入して進めると、計算が非常に大変になります。
(3)は、Sが絶対値付きのaの3次関数ですので、場合分けして微分して増減を調べるでよいです。さらに、Sが偶関数なことに気づければ、a>0で考えれば十分なことが分かります。
<筆者の答案>
第2問
正三角形・正四面体になるベクトルの条件を実際に証明する問題です。
(1)はなんとか示したいところですが、(2)は難問だと思います。
(1)は、度々出てくる事実です。今年の京大理系第1問が、複素数平面ではありますが類題となっています。
3本出てくるベクトルのうちの一本を座標軸に固定し、残り2本をパラメータ表示して条件を求めていく形になります。
(2)は、(ⅰ)が難問となっております。
まず式を見たときに、「3」があることに注目できるでしょうか?これをみて
「三角形ABCの重心Gは、OG=(OA+OB+OC)/3 で書けた」という事実を連想できたかが大きなポイントです。
そこに気づけると、「HとGが一致してくれると嬉しいな」という発想になります。
ここで、|OH|が,Oと三角形ABCを結ぶ最短距離になっているという事実を使えば、|OG|もまたその最短距離となっているので、GとHは一致するしかありません。
これでめでたく具体的にOHの式がOA,OB,OCで書けることが分かったので、あとは直交する条件などから、内積の情報を出していきましょう。
(ⅱ)は、OD=-3OGとなることから、|OG|=1/3がわかるので、(ⅰ)を使えるわけです。
これで三角形ABCは正三角形だと分かるので、あとはAD=BD=CDがABCの一辺に等しいことを示せばOKです。
とにかく、最初の初手を思いつくのが至難の業です。思いつくまで散々もがいた結果70分もかかってしまった格好です。本番では(1)だけ何とか解いて逃げるのが正解だったかと思います。
<筆者の答案>
第3問
直角三角形の領域の中に含まれる辺の長さが整数の長方形の個数を数える問題です。
(1)で実験させ、(2)で簡単なケースを、(2)を(3)を求める、という流れです。
(1)はnが3,4と小さいので、実際に図を描いて数えてしまえばよいです。
(2)は、x軸の上に、L×Kの長方形をどれだけ位置をずらして置けるかを考えます。
まずはこの場合の個数を調べて、最後にL, Kを動かして足し上げる形になりますが、Lを固定するとKのとれる値に制限がつくことに注意です。
(3)は、(2)を利用します。
(2)で考えたのは底辺がx軸(つまりy=0)のケースでした。それでは、同様に底辺がy=1となるのは何個あるかというと、S(n-1)個あります。底辺がy=2の場合はS(n-2)個です。ということで、S(n)をすべて足し上げればR(n)が計算できるということになります。
(4)は、(3)ができればオマケみたいな問題です。1001を頑張って素因数分解してみてください。ヒントは1001 = 10^3 + 1^3です。
<筆者の答案>