ここ最近は、大学入試解説が続いてしまったので、久々に小ネタの紹介記事となります。
今回は、タイトルにある通り、とある図形問題を取り上げてみたいと思います。
問題は、以下の通りです。
[問題]正三角形ABCの中に、点Pを∠APB=120°、∠BPC=90°となるようにとる。
このとき線分の長さの比、AP : BP : CPを求めよ。
まずは、ノーヒントでこの問題に挑戦してみてください。
いかがですか?皆様解けましたでしょうか?
この問題の出典元は、数学系YoutuberのAKITOさんという方から出題された、「チャレンジちゅーぶ」という企画の第1問となっております。
この問題は、いくつもの解き方があり、私自身は計7通りの解き方を用意できました。
図形問題というと、「どう補助線を引けばいいか分からない」「線多すぎてわけわかめ」などなど、嫌な思い出を持つ人が多いと思います。
実際、小学生や中学生だと使えるツールが限られるのでどうしても閃きが必要になってしまいます。
それが、高校生以降で習う知識などを使うと、どんどん閃きといった運ゲー要素を排除し機械的に解けるようになっていきます。
とはいえ、高校の知識ばかり使っていると、肝心の図形的な直観がどんどん鈍ってしまう副作用があります。特に、大学入試ではそうした機械的に解くテクニックばかりが要求されるので、ますます図形感覚が鈍っていくこととなり、問題だと思ってます。
頭の老化を防ぐためにも、頭の体操として、中学までの知識で図形問題を解いてみることをオススメします。
今回出した問題は、高校で習うツールを使っても当然解けますが、飛び道具一切なしの中学までの図形の知識だけでも解くことができます。
では、こちらが用意した7つの解き方を紹介していきます。
まず、高校で習うツールを使った解き方5つを紹介しますね。
[解法その1 余弦定理を使う]
これは、長さと角度の情報がある以上一番に思いつくであろう解き方です。
3個の三角形に対して余弦定理を使って辺の長さの関係式を出して連立する、という至ってオーソドックスな解き方です。
[解法その2 正弦定理を使う]
先ほどcosを使って解いたので、sinでも行けるだろという考えのもと作成した解き方です。別の角度を文字で置く必要があり、どの式をどう使おうかと悩んでしまいがちな、少し回りくどい方法です。
ここまでが、高校1年で習う「三角比」を使った解き方になります。
続いてはこちら、
[解法その3 Pを原点にした座標軸を設定する]
∠BPCが直角になっていることに注目して、そこに座標軸を作っちゃえという作戦です。B(b,0), C(0,c)とでもおいて、b,cを使って辺の長さやAの座標を表して解くという解き方になってます。座標を設定する方法では、これが多分一番スッキリしていると思います。
[解法その4 Bを原点にした座標軸を設定する]
同じ座標軸を設定する方法でも、Pが2つの円の交点になっているはずだということで、円の方程式を連立して解く方法です。
円周角の定理の知識がないと思いつきにくい方法だと思います。
ここまでが、座標を設定して、高校2年で習う「ベクトル」ないし「円の方程式」を使って解く方法です。
[解法その5 複素数平面を使う]
角度の情報があるので、Pを原点にした複素数平面を考えればいいのではと思いついた方法です。複素数平面は「回転」に対して非常に強力なツールです。
ここで、今年の東工大第2問で出た式をさっそく利用しています。
以上が、高校数学アリの解き方5パターンでした。
高校数学だけでもこんなに解き方があるということです。
では、もし高校生の知識を知らない中学生にこの問題を出したら・・・
実は、うまい補助線を引くと解けてしまいます。
ということで、中学数学しか使わない解き方を2通り紹介します。
[解法その6 中学数学縛り1]
Pから線を伸ばして正三角形をもう一個つくるという、なかなかにテクニカルな補助線です。そうすると、「三角形の合同条件」⇒「30°,60°,90°の直角三角形の辺の長さの比」だけで求まってしまいます。
[解法その7 中学数学縛り2]
この解法では、2本の補助線を引いて、合同な3角形を三つ作るという、これまたテクニカルな解き方です。これも最終的には、「三角形の合同条件」⇒「30°,60°,90°の直角三角形の辺の長さの比」です。
このように、以上7つの解き方を紹介しました(他にもあるかもしれません)。
使う道具は全く違っていても、最終的に出てくる答えは全部一緒になる、、、これが数学という学問の凄いところだと思います。
この事実一つとっても、私は、神様というのは実在するんだろうなぁと実感させられます。
困難な問題にぶつかる場面が人生、山のようにあります。そんなときは、色んなアプローチの仕方を身に着けて、一個一個試してみれば、きっと答えが見つかるかもよ。
そんなことを図形問題を通じて感じていただければいいのかなと思います。
ではでは。