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2020年 旧帝大+一橋大 入試文系数学ランキング

ここまで見て下さり、ありがとうございます。

無事、一通り今年の旧帝大の問題に目を通すことができました。

 

というわけで、今年の問題の総括として、個人的難易度ランキングを紹介します。

昨日に引き続き、今度は文系編です。

 

理系編はこちら

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/07/133144

 第8位 : 阪大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/03/232700

 理系編と同じく、文系の方でも最も易しいのは阪大でした。

第1問は、見た目がゴツイだけでタダの3次関数の極大極小で、(2)も変数変換を使うごくごくありふれた問題です。確実に押さえないといけません。

第2問は、これまた基本に忠実な確率漸化式の問題で、本来であれば誘導なしで解けるのが望ましいくらいの難易度ですので、これも押さえたいです。

第3問は、理系第3問とほとんど同じ問題ですが、3倍角の公式をその場で導出できれば大したことはないです。ただ、最初の方針立てで戸惑うかもしれないですね。実質この問題で差がつくでしょう。

 

第7位 : 東北大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/03/220325

 7位は東北大です。理系と違って大苦戦する難問はなかったかと思います。

第1問は、区間によって関数の形が変わるとはいえ、放物線と軸で囲まれる面積の最大最小に過ぎず、難しくないでしょう。押さえておきたい問題です。

第2問は、理系第3問との共通問題で、文系であっても十分解き切れる難易度かと思います。

第3問は、理系第2問との共通問題ですが、(3)が文系の人にとっては少し難しめだったかと思います。(2)までは文系でも確実に得点したいので、(3)で差がつくでしょう。

第4問は、ベクトルと絡んだ確率の問題で、これも(2)までは押さえたい所。ただ(3)も内積の利用が思いつけば、少し長めですが解き切れるかと思います。

 

第6位 : 九大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/04/084832

 6位は九大です。これも苦戦する難問は特にないと思います。

第1問は、2つの放物線で囲まれた面積というありふれたテーマで平易なので押さえたい問題です。

第2問は、(2)は文系の人にとっては慣れていないと取っ掛かりが分かりにくいかもしれません。理系であれば体積の問題で似たようなことを何度もやるので慣れっこですが。

とはいえ、このくらいであれば思いついてほしいところです。

第3問は理系第2問の類似問題で、より簡単になった問題です。(2)を解き切るには、合同式や一次不定方程式に慣れてないと厳しめかと思います。

第4問は、理系第4問との共通問題で、文系の人にとっても難しくないと思います。

 

第5位 : 北大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/04/091139

 5位は北大です。

第1問は、ごちゃごちゃしていますが、Nのy座標をkの式で書くというゴールを見失わずに進めれば解き切れると思います。

第2問は、(2)までは確実に解きたいですが(3)が文系の人には厳しいと思います。tとθの個数の対応関係を正しく把握できるかが問われ、差がつくと思います。

第3問は、理系第3問との共通問題で、かつ最小公倍数を問うていた(3)がオミットされています。文系の人もこの問題は解き切りたいところです。

第4問は、2つの放物線の共通接線を求める問題で、文系であっても解きたいところです。

 

第4位 : 京大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/05/214528

 4位は京大です。

第1問は、Cの中に絶対値が入っていて戸惑いますが、「絶対値を見たら中身の正負で場合分け」という基本方針を忘れなければ、十分行ける問題です・

第2問は、少し発想がいるかもしれません。2つの2次方程式が同じ解をもつには、、を考えられたかで差がつくと思います。

第3問は、息の長い検討が必要な問題で、文系には少し厳しめの問題だと思いました。

第4問は、理系第3問との共通問題で、方程式を作って解くだけの問題です。なんとか頑張って解き切りましょう。

第5問は、理系第5問との共通問題で、理系でもやや難の部類に入る問題です。時間があれば挑戦の枠扱いでよいと思いますし、場合によっては捨てるのも止む無しでしょうか。

 

第3位 : 一橋大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/01/121444

 3位は、文系専門の一橋です。ここは毎年、文系オンリーなのに骨の折れる問題を出してきますね。。

第1問は、今年の西暦に因んだ整数問題で、難しくはないですが息の長い検討が必要な問題です。何とか頑張って解きましょう。

第2問は、文系にとっては難問の部類に入ると思います。tanθの多項式に帰着させるという方針は立つと思いますが、事前の例外処理が面倒です。

第3問も、三角関数の苦手な人にとっては地獄を見る問題だと思います。それを潜り抜けても予選決勝法を正しく適用できるかは差がつくところだと思います。

第4問は、見た目からしてイヤになりますね。最初の絶対値外しが文系の人にとっては厳しいと思います。

第5問は、確率漸化式の問題で、漸化式を立てるときに発想が必要になってきます。これも演習経験の差で明暗が大きく分かれたかと思います。

 

第2位 : 名大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/03/205120

 2位は名古屋大です。理系に続きこちらも難問がそろっていました。

第1問は、解の配置と絶対値付き積分の問題で、方針自体は簡単に立ちますが、計算を工夫して進めていかないとミスりやすい問題だと言えます。発想はさしていらない分、この問題が解き切れないと、残りでの挽回は厳しいです。

第2問は本セット最難問です。(1)はまだ類題経験があればなんとかなりますが、(2)が「Hが重心と一致すればいい」という発想が浮かばないとどうしようもなくなります。(1)だけ解いて(2)は捨ててしまうのが正解だったと思います。

第3問は、長方形の個数数え上げですが、これまた発想力が問われます。(2)は2つの引数のΣ計算が要求されますし、(3)は(2)の利用を思いつけたかが肝要になります。

 

第1位 : 東大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/07/000442

 栄えある堂々の1位は、東大です。今年の東大文系は他を寄せ付けない圧倒的1位でした。正直選抜としては機能しないセットだと思います。

第1問は、条件2にある「格子点を1個だけ含む」という処理がとにかく考えにくい難問です。なんとか頑張った痕跡だけでも答案に残せればいいと思います。

第2問は、点の乗らない直線の本数の数え上げですが、これまた過不足なく数え上げるのが着想も要り大変な問題です。

第3問は、まだ対処しうる問題で(1)は解けてほしいところですが、(2)の問題文の意味の把握がそもそも難しいです。国語力の高い文系受験者がどれだけ噛み砕けたか、ある意味文系向けの問題だったかもしれません笑。

第4問は、理系第4問との共通問題で、理系のセットでも最難問だった問題です。こんなのが文系の人に解けるわけがありません。(1)だけ頑張って(2)以降は即捨てましょう。

 

今年の文系の問題は、簡単なセットと難しいセットの激しい年となりました。来年はどうなることやら。。。