ちょぴん先生の数学部屋

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2020年 旧帝大+東工大 入試理系数学ランキング

ここまで見て下さり、ありがとうございます。

無事、一通り今年の旧帝大の問題に目を通すことができました。

 

というわけで、今年の問題の総括として、個人的難易度ランキングを紹介します。

まずは理系編です。

 

文系編はこちら

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/08/120716

 

第8位 : 阪大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/02/28/223013

 最も易しかった8位は阪大です。去年は東工大に次ぐ2位に君臨するくらいに手堅い難問ばかりでしたが、今年はその反動なのか、打って変わって易しい問題が多く、高得点での争いになったと思われます。

 関数の概形を描く第1問は、完答必須です。テンプレ通りに解き進めればよい第4問の極限、第5問の体積最大最小も押さえておくのが望ましいでしょう。問題設定を分かりやすく噛み砕けるかが問われる第2問の確率と、一見何をすればよいかが分かりにくい発想寄りの第3問で差がついたと思います。

 

第7位 : 九大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/02/27/233535

7位は、6位と迷いましたが、九大としました。

去年と傾向がほぼ一緒ですし、このあたりが定位置なんでしょうね。

 

接線の存在条件を求める第1問は、教科書章末問題レベルなので完答必須です。4次方程式と整数の融合問題である第2問は、(2)の余りの処理が煩雑となり答えも汚いので解き切るのは少し難しめです。

第3問は空間図形を扱った本セット最難問です。時間がなければ捨ててしまってもいいと思いました。

第4問は、4個のサイコロの出方を考えてしまえば難しくありません。押さえたいです。

第5問の体積も定番問題なので、押さえるべき問題です。

 

第6位 : 北大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/02/26/225748

 6位は九大と迷いましたが、北大としました。

去年に引き続き易しめの問題が多いですが、発想の必要な第4問の存在により九大より上としました。

 完答必須と言えるほどの極端な易問はなかったかと思います。

第1問のベクトルは、ベクトルへの深い理解と図形的センスが要求される少し難しい問題で、(2)以降は差がつくと思います。

第2問の格子点数え上げは、類題経験があれば十分に対応可能な問題なので押さえたい問題の部類に入ります。

第3問の確率も、最大公約数と最小公倍数の意味を思い出せばさほど難しくありませんので、これも押さえたいです。

第4問の極限は、発想の必要な本セット最難問なので、すぐに方針が浮かばなければ後回しにしても問題ないと思いました。

第5問の積分方程式は、微分方程式を解いた経験がものを言いそうなので、差がつく問題でしょう。近年では微分方程式はあまり出題されていないので。

 

 

第5位 : 京大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/02/26/101249

 5位は京大です。昨年に引き続き易化傾向にあります。一昔前だと手も足も出ない難問が1問はあったのですが、今年はそういった類の難問はありませんでした。

第1問は正三角形をなす複素数の問題で、計算の工夫がないと大変ですが、工夫ができればそんなに難しくありませんので、差がついたかと思います。

第2問の極限は、(1)は確実に解けないといけない問題で、(2)は(1)の利用さえ思いつけば簡単です。完答を目指したい問題です。

第3問はただの計算問題ですので、これも押さえたいです。

第4問の整数問題が少し難しめの問題です。3で割り切れるかという検討を何回も繰り返すという息の長さが難しさのポイントです。とはいえ、発想は特にいらないので逆を言えば時間をかければ確実に解けます。

第5問の魔法陣が、ある意味今年のトピックでしょうね。どんどん数字を入れていくと残りが勝手に決まっていく様を理解できたかが鍵になる、差がつく問題です。

第6問の体積はテンプレ通りですが、Sの式を出せるかが分水嶺で、これができれば満点ですが、できないと0点もあり得ます。そういった両極端な問題です。

 

第4位 : 東北大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/02/29/142312

 4位は東北大です。いつも通りの妥当な順位です。

三角形を扱う第1問は、(1)は確実に解けないとダメな問題で、(2)は方法の如何を問わず求める式をsの式で書ければよく難しくありません。押さえたい問題です。

円と直線の交点を考える第2問は、(2)までは確実に解きたいですが、差がつくのが(3)です。

第3問の整数問題は、誘導通りに検討するだけなので、押さえたいです。

第4問の確率は、漸化式を解く(3)が息の長い問題でキーポイントになったかと思います。

第5問の複素数は、誘導通りに進めればよいですが、円のどの部分なのかをきちんと答えられるかで差がつくでしょう。

第6問の積分が、本セット最難問です。三角関数積分が苦手な人には足も出ないと思います。三角関数がそもそも面倒なのにそのm乗,n乗など文字が多く大変です。苦手な人はさっさと捨てて残りの問題の見直しに当てましょう。

 

第3位 : 名大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/02/29/213937

3位は名古屋大です。去年にも増した難しさで、平年がこのくらいなのでしょうか。

問題が4つしかなく、リスク分散がしにくいのも難点ですね。

 

双曲線と曲線の交点を考える第1問は、このセットの中では易しめですので、何とか頑張って解き切りたいところです。

第2問の整数問題は、素数多項式で与えられるという珍しいタイプの問題で面喰いそうになります。基本的な解き方はテンプレ通りなので、見た目に惑わされずに何処まで行けたかで差がついたと思います。

第3問の抽象関数は捨て問です。速攻でスルーしましょう。おそらく本番でも白紙解答続出で差がつかなかったでしょう。

第4問の確率は、漸化式を解く(2)までは何とか頑張りたいです。(3)は時間に余裕があったら挑戦、でよいです。

 

第2位 : 東大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/02/26/092520

2位は東大です。ここ数年は解きやすい問題が多めでしたが、今年はその傾向を断ち切らんばかりの激難化です。全体を通して、方針の立て方で大きく明暗が分かれる問題が多いと感じました。

比較的易しめな第1問でさえ、とっつきやすいとは言えません。2次不等式の解の範囲を考えるのですが、文字が多く、考えるべき場合分けが多いのも難点です。

第2問については、これがベクトルを使って解く問題だと気付けるかが分水嶺となりました。とはいえ、その後も中学数学的なセンスが必要になったりと気が全く抜けません。

第3問は、まだ易しい部類の問題で(2)までは確実に解きたいです。(3)は、(2)の出題意図に気づけたか、さらに図形を正しく描けて面積計算の工夫ができたかが鍵です。

第4問は、本セット最難問です。これが文系との共通問題だったのですから本当にどうかしています。(2)で漸化式を作ろうという発想にたどり着いても2種類作る必要があり難しいでしょう。捨て安定です。

第5問は、テンプレの体積問題なのですが、考えにくいポイントがちらほらとあり、簡単には解かせてくれません。

第6問は、(1)は一見簡単そうに見えて難しい問題です。(1)を後回しにして(2)を解くのが有効だったかと思います。

 

第1位 : 東工大

https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/01/231751

 堂々の第1位は、東工大でした。まさかの2連覇。。絶対反動で易しくなると思ったのに。。レジェンド級の難問があった去年とは別ベクトルで難しいセットです。

去年ははなっから捨てる問題と、解けそうな問題の差が極端でした。に対して今年は、飛びぬけた超難問こそないですが、5問すべてが一定以上の解きにくい難問というセットです。

 

第1問の整数問題は、このセットでは最も易しい問題で、これができないと残りの問題での挽回は事実上不可能です。この問題だけは頑張って解き切りたいです。

第2問は、正三角形をなす複素数ということで、京大といい早稲田といい今年の流行なのでしょうか?(1)からして、初手の方針立てと計算の工夫をうまくしないと泥沼にはまります。(2)も、2乗和ならともかく、4乗和ともなると計算が長く大変です。

第3問の空間図形は、(1)は解けないといけないですが、(2)は難問ですね。これで方べきの定理を思いつけた人は、相当図形センスが高いです。

第4問は体積ですが、これも(2)が難問です。回転軸が斜めっている断面を如何に積分するかの経験が問われたと思います。

第5問の極限が、本セット最難問だと個人的に思います。はっきり言って(2)以降は捨て問レベルと言いますか、京大の特色入試に出ていても違和感のない難易度です。

 

というわけで、今年も色々な問題が出てきました。来年はどんな問題が出てくるのか、今から楽しみです。