ちょぴん先生の数学部屋

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2022年度 旧帝大+一橋大 入試文系数学ランキング

国公立2次試験の前期日程が終わってから1週間になりますので、ここで総括を兼ねた個人的な難易度ランキングを発表します

続いて文系編です

 

理系編:2022年度 旧帝大+東工大+早慶 入試理系数学ランキング - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

 

第8位:北海道大学

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 文系のセットで最も易しかったのは北大です。理系のセットが異常なまでに難化したのとは対照的に、こちらは平常運転ですね。理系との共通問題はありませんでした。

 

第1問:3次不等式を解く問題で、もはや完全なるサービス問題と言えます。確実に完答すべきです。

 

第2問:数列の最小値に関する問題で、結局前後の差を取って符号がどうなるかを調べればよい問題です。こちらも可能な限り押さえたいです。

 

第3問:直角三角形の内接円に関する問題で、類題経験があれば方針はすぐに立ったかと思います。sin15°の値の計算が課題ですが、こちらも2倍角の公式からの逆算で求められます。

 

第4問:確率の問題ですが、こちらの場合は(1)のような引くたびにカードを戻す場合と(2)以降のようなカードを戻さない場合で大きく方針が変わり、後者の場合は虱潰しに場合分けをして検討をするほかありません。打ち漏らしと計算ミスのない様に進めたいです。

 

第7位:大阪大学

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 7位は阪大です。こちらは理系のセット同様に易しめの出題となっています。理系との共通問題はありませんでした。

 

第1問:ベクトルの処理の問題で、大学入試で頻出する典型問題です。ベクトルの知見やメネラウスの定理を使って比を求めていきます。

 

第2問:確率の問題で、(1)を解くことで「Gn, Lnが素数になる確率」を調べた方が早いぞと気付けたかがカギになります。

 

第3問:放物線と直線で囲まれる図形の面積を調べる問題で、ご丁寧にも(1)で1/6公式の証明をさせています。それを使えば(2)は容易いでしょう。あまりにも典型的な問題ですし。

 

第6位:京都大学

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 6位は京大です。こちらも阪大同様易しめのセットです。

 

第1問:対数を評価する問題ですが、底を4→2に変換するという基本さえ押さえられていれば、解答は容易だったと思います。理系との共通問題でした。

 

第2問:移動経路数を数える問題で、漸化式を考えて解くという方針が立てば、進められたと思います。

 

第3問:放物線の直交する2接線に関する問題で、条件を満たす接線の式が求まってしまえば、面積計算は容易でしょう。

 

第4問:直線と双曲線に関する点の軌跡を求める問題です。P,Q,R,Sの座標を求めて条件を整理すればOKなのですが、これら4点が同一直線上にあることから「線分の長さの比」を「x座標の差の比」と読み替えてもOKだと気付けると、より計算が楽になります。

 

第5問:ベクトルの問題で、正直センター試験レベルの簡単さだと思います。計算ミス以外での誤答は許されないでしょうね。理系との共通問題でした。

 

第5位:東北大学

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 5位は東北大です。これまでの3大学の問題に比べると一筋縄では片付かない問題が多い印象です。

 

第1問:足すとと一定値になる奇数の組み合わせを数える問題で、「奇数の組み合わせ」という点が一ひねり要素です。これを文字の変換で「自然数の組み合わせ」に変えられたか、その後の組み合わせの個数をきちんと論理的に計算できたかがカギになりました。理系との共通問題でした。

 

第2問:絶対値付きの積分の最小値についての問題で、誘導が丁寧なお陰で絶対値外しの場合分けが考えやすくなっています。

 

第3問:線形計画法の問題ですが、(2)に関してどのタイミングで直線とDが交点を持つ中で3a+2bが最大値を持つかを詳細に検討しないといけません。

 

第4問:四面体の体積を計算する問題ですが、(1)の解釈が少し難しいでしょうね。このOHベクトルが、実は平面OABの単位法線ベクトルと一緒だと気付けたかどうか・・・

 

第4位:名古屋大学

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 4位は名古屋大です。文系のセットとしては若干難しめの問題であり、特にオリジナルの第3問が難しく感じたかもしれませんね。

 

第1問:多項式の割り算に関する問題です。因数定理を考えればいいのですが、「bの値に応じてf(x)の個数を調べよ」という訊かれ方の解釈がやや難しいでしょうか。とはいえ、検討を進めていくとαの3次式=bとなるので、結局αの3次方程式の解の個数を調べる問題に帰着します。理系との共通問題でした。

 

第2問:整数問題の色彩の濃い確率の問題です。(1), (2)ともにcが仲間外れなのでcの値で場合分けして(a,b,c)の組数を虱潰しに調べることに終始します。理系との共通問題でした。

 

第3問:放物線で囲まれる面積の最大値を考える問題で、(2)を求めるまでは典型問題ですが、(3)の最大値を求める部分が慣れていないと難しいと思います。具体的には一旦aを固定してbを動かして最大値を考え、その下で今度はaを動かすという「予選決勝法」になります。

 

第3位:九州大学

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 3位は九大です。かなり手間のかかる癖の強い問題が多い印象でした。

 

第1問:絶対値付き2次関数と接する直線に関する問題で、2次関数のどの部分と直線が接するかをちゃんと検討する必要があってそこが面倒なポイントです。

 

第2問:平面に対して対称な点を考える問題です。(1)でαの法線ベクトルをもとめ、(2)以降でPと対称な点P'を求める典型問題で、理系の前半部分と共通の問題でした。

 

第3問:4次方程式がガウス整数を解に持つ条件を調べる問題ですが、負の整数解の候補を絞った後に逐一虚数解が実部・虚部整数になるかを確認する必要があり、それが面倒な要素です。

 

第4問:区分求積法を導出する問題で、見た目からして「共通テストの穴埋め」みたいな問題で面喰った受験生が多いのではないかと思います。とはいえ、やることは単純で見掛け倒しです。まぁ、「導関数の定義」をちゃんと理解できてないといけませんが。理系との共通問題でした。

 

第2位:一橋大学

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 2位は一橋大です。毎年ながら文系向けにしてはやたら難しい問題を出してきますね。

 

第1問:整数の不定方程式を解く問題で、a~dに0になる可能性が残されているのがかなり厄介な部分です。なので全部が1以上なのか、どれかが0になるのかで場合分けが必要になり、整理しながら細かい場合分けもせねばならず面倒でしたね。

 

第2問:三角形の面積の最大化をする問題で、こちらは方針も立てやすく計算も楽なので確実に取っておきたい問題です。

 

第3問:不等式の同地変形に関する問題で、(1)がきちんと証明できたかがカギになったかと思います。(2)は一応(1)の結果ありきで解くことは可能ですが。

 

第4問:立体の体積の増減を調べる問題で、空間認識能力がなければ全く手が付かない難問です。よしんばそれができたとしても解答の記述すること自体が難しく、早々に捨ててしまうのが正しい選択だったかと思いますね。

 

第5問:確率の問題で、基本的には漸化式を立てて解くという方針で進みます。(2)の立式が少々面倒ですけどね。

 

第1位:東京大学

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 栄えある1位は、東大です。これも昨年同様圧勝です。これって本当に文系向けなのか?と思ってしまう難問ぞろいです。

 

第1問:放物線の直交する2接線に関する問題で、(1)はともかく(2)の処理がかなり面倒です。ただでさえルートが混じった複雑な式を処理するので、ミスも起こりやすく難しいですね。

 

第2問:3次関数の法線が3点で交わる条件を考える問題で、今回のセットの中では比較的おとなしめの問題です。それでも、(2)までをしくじっていると(3)で爆発してしまうのでミスには要注意です。

 

第3問:数列の最大公約数を考える問題で、(1)では実験しての帰納法、(2)では漸化式からan+1とanの最大公約数が、anとn(n+2)の最大公約数であることを見抜く必要があります。

 

第4問:理系の第6問と大枠の設定が一緒の確率の問題です。理系の物に比べれば難易度は下がっているものの、それでも題意の把握が困難を極める難問です。その元凶が「k」「vk」の設定で、これをいかに噛み砕けるかがポイントになりました。理系でも最難問だった問題を廉価版とは言え文系でも出題する、相変わらず東大文系は鬼です。

 

 

 

ということで、今年度も受験お疲れ様でした。。。