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平成の東北大理系後期数学 -2019年-

このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

初回の今回は2019年になります。

 

第1問

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放物線の直交する2つの接線に関する問題です。

 

(1) まずはQ1, Q2のx座標を文字でおいてl1, l2の式を作り、その2つが直交しかつx=aで交わるように条件を決めていきます。

 

(2)どのような方法でもよいのでS1+S2をaの式で表現することが先決です。答案では図形的に解いています。最終的に3次関数の増減を調べる問題に帰着します。

 

<筆者の解答>

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第2問

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cosの方程式を解く問題です。

 

(1)直接の式変形では証明しにくいので、数学的帰納法を使えばよいでしょう。

 

(2) (1)の式に代入することで、sin(x/2)=sin(n+1/2)xを解く問題に帰着しますが、x=πの偶数倍にならないことに注意です。方程式を解くには和積の公式を使って因数文化すればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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四面体を題材にしたベクトルの問題です。

 

(1) OP, OQを文字でおいて、PQを計算して平方完成で最小化していけばよいでしょう。

 

(2) ORは2つのパラメータを使って表現できるので、|OR|, |PQ|, OR・PQを計算していけばcosθを上記の2つのパラメータで表現できます。このとき、なるべく対称性が維持できるようにパラメータ設定すると見通しがよくなります。

 

最終的には予選決勝法で考えていきます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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下凸の連続関数に関する証明問題です。

 

(1) p'(0)とp'(1)を計算すると、A(x, f(x) )での接線の傾き、B(y, f(y) )での接線の傾き、両者を結んだ線分ABの傾きの大小を考察することに帰着します。するとf(x)の下凸性が生きてきます。

 

(2) さらにC ( (1-t)x+ty, f( (1-t)x+ty) ), D( (1-t)x+ty, (1-t)f(x)+tf(y) )とすると、f(x)の下凸性からDがつねにCの上側に来ます。これを利用することでp(t)>0が証明できます。

 

(3) 与える式を同値変形すると、やはり線分の傾きの大小を比較する問題に帰着できます。ここでもf(x)の下凸性が生きます。

 

<筆者の解答>

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第5問

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2進数と関連する確率の問題です。

 

(1) 2^10=1024を3で割ると商は341となるので、これを2のべき乗の和に分解することを考えましょう。

 

(2) 100回中4回表が出る事象をA, a100< 2^100/3となる事象をBとしてベン図を使って考えると見通しがよくなります。

 

(1)と同様に考えると、a100< 2^100/3となる場合のa100の最大値は、奇数回目が全て裏で偶数回目が全て表になるときに実現することが分かります。100回中裏が96回も出るので、ほとんどのケースでa100>2^100/3となってしまうこととなります。なので、余事象を考えるとよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第6問

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複素数の計算問題です。

 

(1) 左辺をひたすら処理して右辺の形に近づけていきましょう。

 

(2) (1)の結果を使うことでz1w2*=z2w1*が言えます。これを使いつつ、(w2 - z2)/ (w1 - z1)が実数になることが言えれば、AB//CDが証明できます。

 

複素数αが実数だと言いたければ、α- α* = 0が言えればOKです。

 

(3) (2)の式からは|z2|=|w2|も言えるので、AとB, CとDはそれぞれ原点中心の同一円周上にあることが分かります。これと(2)の結果から四角形ABCDは等脚台形になることが分かります。

 

<筆者の解答>

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