このシリーズでは、東大に引き続き、平成の京大理系数学の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
京大の数学の問題も、難易度は高いですが良問の宝庫であり、演習価値が非常に高いです。
(時々、どうしようもなく難易度が高く、筆者の力量でも解けない問題が出てくることがありますが、どうかご容赦くださいm(_ _)m )
16回目の今回は、2004年の問題です。
第1問
三角関数の最大値最小値を求める問題です。非常に易しい問題です。
4倍角の式があるので、普通に考えればcosθの4次式になってしまいますが、相方のsinθ^2がcos2θで表現できるので、f(θ)をcos2θの2次式として考えると見通しが良いです。あとは、cos2θの範囲に注意して、2次関数の最大最小を考えればよいです。
<筆者の解答>
第2問
複雑な関数とx軸で囲まれた領域の面積を求める問題です。
f(x)の積分をすればよいでのですが、積分範囲をどうするかが問題となります。
f(x)=0となるポイントを求めて、その前後でf(x)の正負がどうなっているかを考えればよいです。今回の問題を解く上では、f(x)の極値の具体的な情報は要りません。
積分計算については、logが入っている積分なので部分積分を考えたい所ですが、今回の場合はうま味がありません。こんなときは、邪魔なlogx自体をt=logxで置換してうまくいかないか試してみましょう。
<筆者の解答>
第3問
多項式の割り算の余りに関する問題です。
余りの係数を求める方法としては、「漸化式を作る」「直接一般項を求める」の2通りあるかと思いますが、今回は割る2次式自体がnによって変化してしまうので漸化式がうまく作れません。よって、直接一般項を求めるのがよさそうです。
直接余りの式を求めるには、Pn(x)を消してあげたいので、割る2次式=0となるようにxを選んできましょう。今回の場合は、2次式がうまく因数分解できる形になっています。これで2つの方程式ができるので、連立してan, bnがそれぞれ求まります。
あとは素直に極限を取るだけです。式の形からネイピア数eが登場します。
<筆者の解答>
第4問
行列の問題です。
条件(*)が少々分かりずらいのですが、「どんな適当なYを取ってきても、Xをうまく選んでくればAX-XB=Yを成立させられる」 ということです。
XとYをそれぞれ(p,q,r,s), (a,b,c,d)と文字で置いて、AX - XB = Y を計算してあげると、係数として2-α,1-α, 2-β, 1-βが登場します。
もしこれらが0になってしまうと、a,b,c,dに対してp,q,r,sがうまく決まりません。
(例えば、pによらずa=0になってしまい、0以外のaについては成立しなくなってしまいます。)
逆にこれら係数が0でなければ、a,b,c,dを決まった数だとすると、それに対して1通りにp,q,r,sの値が決まります。このようにp,q,r,sを選んでくればよいわけです。
<筆者の解答>
第5問
複素数平面上の円についての問題です。
Cが1,-1を通ることから、Cの中心は虚軸上にありますのでitと書けます。
よって、Cの式は、|z-it| = √(1+t^2)と書けます。
Cはαをも通るので、|α-it| = √(1+t^2) が成立します。
この時に|-1/α* -it| を計算して同じく√(1+t^2)になるかを確認しましょう。
<筆者の解答>
第6問
赤の玉の移動を考察する確率の問題です。
ルールが複雑ですが、箱N+1に赤が最後に入る場合に絞って考えてみましょう。
まず、N回後に箱N+1に赤が残っていると、次の回で箱N+1と他の白の入った箱の中身を交換するので、箱N+1の中身が最終的に白になってしまいます。よって、途中で箱N+1の中身が白と入れ替わっていることが必要です。
L回目まで箱N+1にノータッチで、L+1回目で箱N+1の中身の入れ替わりが発生するとすると、次回以降は、赤の入った箱を選ばない限りは色の入れ替わりは発生せず、特に箱N+1の色の入れ替わりは発生せず白のままです。つまり、L+2回目からN回目までは、赤がどの箱に入っていようが、N+1の中身は白のままです。
そして、最後のN+1回目で赤の入った箱を選べば、無事箱N+1に赤が戻ってきます。
ここまで考察できれば、Lを固定して確率を計算し、最後にLについてΣを取ればよいです。
<筆者の解答>