ちょぴん先生の数学部屋

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平成の慶応医学部数学 1996年

私立最難関の一角、慶應義塾大学の医学部の問題を取り上げます。

 

今回は1996年の問題を解いていきます。

第1問

場合の数の問題です。

 

(1)各カードをどの箱に入れても構わないので、各カードの入れ方はそれぞれM通りです。

 

(2)入れる箱N個を選んで、N枚を入れる順番を決めてあげればよいですね。

 

(3)まずは2枚入れる箱をk個選んで、その箱に入れるカード2枚ずつの入れ方を考えます。その後残ったN-2k枚を、残りのM-k個の箱に1枚以下で入れていくので、この場面では(2)の結果が使えます。

 

(4)結局(3)でk=0,1,2としたものを足せばよいことになります。

 

<筆者の解答>

 

第2問

積分及び、その結果を利用して立体の体積を計算する問題です。

 

(1)こちらは教科書レベルの積分で、特にコメント不要でしょう。

 

(2)番号が2個違いの漸化式を作りたいので、非積分関数で無理やり(sinx)^2を作って部分積分することを考えましょう。

 

(3) (1),(2)の結果を使って計算していきます。分子や分母が「奇数の連番積」「偶数の連番積」となっているのがちょっと気持ち悪いので、奇数の積の方に偶数をうまく挟むことで式を簡単にできます。

 

(4)体積を計算するときは、「断面に垂直な直線に沿って断面積を積分する」のが基本ですが、今回の場合はどの方向に断面を切ればよいか?S3の設定の仕方からx+y=tで切るのが妥当でしょう。この面で切ると断面が台形となって面積計算しやすいです。

 

ただ、このままtで積分してはいけません。前述のように「断面に垂直な直線に沿って」積分する必要があるんでした。なので、x+y=tと原点との距離sで積分する必要があることに注意です。

 

 

<筆者の解答>

 

第3問

曲線の通過領域を調べる問題で、第2問が重かった分易しい問題になっています。サクッと解いてしまいたい所です。

 

yをtの関数と見なして、xを固定したときのt>0での値域を調べる(いわゆる順像法)が考えやすいと思います。

 

<筆者の解答>

 

第4問

2次曲線の回転変換に関する問題です。(1)のようにうまく回転してあげるとxyの項が消えてくれて、どんな曲線かが判別できるようになる、という趣旨で、この記事でも解説をしている内容になります(この2次曲線の正体はな~んだ? ~行列の対角化~ - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com) )。

 

(1)誘導に従ってひたすら計算していくことに尽きます。ア、イは三角関数の合成の話です。

 

(2)三角不等式 |a+b|≦|a|+|b|を利用すると綺麗に証明できます。

 

(3)何とかしてβを消したいです。そのために、(1,0), (0,1)の各ベクトルの都の内積をかけてあげるとよいです。すると、ベクトルの関係式が全てスカラーの関係式にできて、cosβとsinβをx,yの式で表せます。

こうしてβを消去すると(x,y)の関係式が2次式となり、(1)の知見から2次式は(中心が原点の)2次曲線を表します。これで、楕円(円を含む)、放物線、双曲線のどれかに絞れました。

 

(2)の結果から|p|の大きさには上限があるので、原点からの距離が無限大まで飛ばすことのできる放物線や双曲線は不適だと分かります。

 

(4) (x,y,z)=定数ベクトル+ucosθ+vsinθの形にできて、最初の定数ベクトルは「中心の位置」、後半は(3)の形なので「楕円」となります。

 

(5) Qを通ってベクトルu,vの両方が乗る平面がπです。QPの最大最小は、QPが三角関数の形で求まることから分かります。

 

<筆者の解答>