このシリーズでは、東大に引き続き、平成の京大理系数学の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
京大の数学の問題も、難易度は高いですが良問の宝庫であり、演習価値が非常に高いです。
(時々、どうしようもなく難易度が高く、筆者の力量でも解けない問題が出てくることがありますが、どうかご容赦くださいm(_ _)m )
21回目の今回は、1999年の問題です。
第1問
放物線と直線で囲まれた部分の面積が常に一定の時、交点の中点の軌跡を求める問題です。
Pのx座標をα、Qのx座標をβとすると、放物線と線分PQで囲まれた部分の面積は、
-∫(x-α)(x-β)dx = (β-α)^3/6 と計算することができます。これが1なので、βをαの式で表すことができます。
一方で、Rの座標は、( (α+β)/2, (α^2 + β^2)/2 )と書けるので、αとβを消去すれば、Rの軌跡が求まります。
<筆者の解答>
第2問
軌跡を求める問題です。
状況設定が抽象的なので、A(-a, 0), B(a,0) のように座標を設定して、P(x,y)とおいてxとyの関係式を、与式から計算して求めましょう。
求まった式を解釈して、「AとBを焦点とし、短径がc/2となる楕円」と、座標設定によらない表現で答えてあげましょう。(座標は、こちらで勝手に設定したものですので)
<筆者の解答>
第3問
不等式評価の問題です。
(1)は、左辺ー右辺を計算することで証明できます。
(2)は、Σの中身からして(1)を使いそうです。
(1)の言わんとすることは、分子と分母の大小関係を揃えてあげたほうが値が小さくなるということです。
ここで、xkの定義を解釈すると、x1, x2, ・・・, xn は、1からnまでの自然数を並び替えたものになります。よって、Σの式の分子を小さい順に並べてあげれば値を小さくすることができます。
よって、与式は(1)を使うと、Σ{k^2/(k^2 +1) } = n - Σ1/(k^2 +1) より大きいという結論になります。
あとは、Σ1/(k^2 +1) を上から押さえてあげましょう。f(x) = 1/(x^2 +1) の面積と短冊の大小関係を使えばよいです。f(x) = 1/(x^2 +1) のx=0からx=nまでの面積は、nを無限大に飛ばすとπ/2となりますので、π/2より小さい値となります。ここまでをまとめると、
Σ1/(k^2 +1) < π/2 となります。最後にπ/2 < 8/5を確認すれば終了です。
<筆者の解答>
第4問
複素平面上の正三角形ABCの配置を求める問題です。
条件2の解読が、ある意味一番重要です。
条件2の式を3で割ってあげると、(α + β +γ)/3 =1となり、この左辺は、△ABCの重心を表しています。
つまり、△ABCを実軸方向に-1平行移動してあげれば、△ABCは原点を中心とした正三角形にできるわけです。
こうしてあげると、α-1を120°回転するとβ-1となり、さらに120°回転するとγ-1になることが分かるので、(1)が解けます。
※(2)を見据えて、反時計回りにA, B, Cが存在することにします。
(2)は、さらに条件1,3を使ってあげることで、z = α-1の値を決めることができ、結果α-1の偏角が求まります。しかし、まだαの偏角にできていないので注意です。
α-1の偏角は、△ABCの重心をGとしたときに、直線GAと実軸のなす角なので、A,B, Cを具体的に複素平面上に描いてあげて、図形的にα、β、γの偏角を計算します。
<筆者の解答>
第5問
√2, √3と有理数の混じった式の性質を調べる問題です。
(1)は、割と有名な事実ですが、証明しろと言われると案外難しいです。
無理数が√2, √3の2つがあると厄介なので、無理数を1つにしてしまいましょう。pを移行して2乗してしまえば、無理数が√6だけにできます。
このとき、もしqr≠0だとすると、√6 = 有理数となって矛盾します。よって、qとrの少なくとも一方は0じゃないといけません。
r=0としてあげると、p+q√2 =0 となり同じ論理によってq=0が必要となります。供連れでp=0になります。
先にq=0としたときも全く同様です。
(2)は、f(1), f(1+√2), f(√3)のすべてを有理数だと仮定して矛盾を導く背理法で示します。
a,bは「実数」としか言われておらず、有理数か無理数かが分からないので、お邪魔虫です。a,bを消して、有理数と√2, √3だけ登場させて、(1)の形に持ち込みましょう。
(1)の形に持っていくと、p=q=r=0でないといけないのに、そうならないので矛盾ということになります。
<筆者の解答>
第6問
パラメータ表示された曲線の面積を求める問題です。
x,yの式をそれぞれをtで微分して増減表を描くことで、グラフを描くことができます。
直線y=xより上側の面積を求めるわけですが、y=xと曲線が途中で交わったりしていると非常に厄介なことになってしまうので、そうなっていないことをちゃんと確かめるべきです。
y=tx の形になっているので、0<t<1ではy=xの下側、1<t<3ではy=xの上側とくっきり分かれるので、曲線とy=xは、(0.0)と(1,1)以外に交点を持たないことが分かります。
あとは、素直に積分を計算するだけなのですが、思いのほか、この計算が長く大変です。
<筆者の解答>