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平成の東北大理系後期数学 -2014年-

このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

6回目の今回は2014年になります。

 

第1問

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行列の計算問題です。

 

(1)定義通りに計算するだけです。

 

(2) 与式はx,yの連立方程式なのですが、実質1本だけの方程式になるので、(x,y)は無数に存在します。ここで求まった(x,y)が「Cの固有ベクトル」というやつですね。

 

(3) (x,y) = (1,t)と書けるので、そこから(x', y')をtの式で表現でき、tを消去すれば求める方程式になります。

 

<筆者の解答>

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第2問

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空間内の三角形と線分が交点を持つ条件を調べる問題です。

 

(1) まず「直線」PQと平面ABCとの交点Rの座標を求めましょう。Rが「線分」PQ上にある条件から、まずはaの条件が1つ求まります。

 

次に、Rが△ABCの周または内部にある条件は、AR=sAB+tACと書いたときに0≦s≦1, 0≦t≦1, 0≦s+t≦1を全て満たすことです。なので、s,tをaの式で求めてこれらの条件がクリアできるかを調べていきます。

 

(2) (1)の過程でRの座標が求まっているので、|OR|をaの式で求めて最小化していきます。実質的にはaの4次関数の処理になりますので、微分が必要です。

 

<筆者の解答>

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第3問

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格子点の個数を数える問題です。

 

直線x=k (0≦k≦3n)上にある格子点の個数の合計がanとなることに注意しましょう。

 

(1) 上の方針で調べればよいでしょう。

 

(2) an+1 -anが、x=k (k=3n+1, 3n+2, 3n+3)上にある格子点の個数の合計になります。

 

(3) (2)が階差数列型の漸化式なので、容易に説くことができます。今回は、実はa0=2と定義してしまえばスムーズに計算できます。

 

(4) Snは台形の面積なので簡単に計算できます。はさみうちのような道具を使うことなく普通に極限計算できます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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回転や裏返しをダブルカウントしない、実質的な塗分け方を調べる問題です。

 

高々6枚の塗分けなので、全て虱潰しで調べ尽くしたほうが結局早いです。

 

両端の2枚(表裏で合計4枚)の塗られ方で場合分けして調べると見通しが良いでしょう。回転や裏返しを考慮してダブルカウントしないように注意深く個数を調べます。

 

おそらく答案のでMECEに調べ尽くせているはずです・・・

 

<筆者の解答>

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第5問

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3次関数と2次関数の囲む面積に関する問題です。

 

(1) C1, C2を両者連立したときに実数解を3つもつ条件を求めます。aに関係なくx=0は必ず解になっていることに注意です。

 

(2) (1)の方程式の解を0, α, β (α<β)とすると、2つの囲む面積が等しくなる条件は、C1-C2を、(0,α,βの最小値)~(0,α,βの最大値)で積分すると0になることです。

 

aの値によって、α<0<βになる場合と0<α<βになる場合の2通りに分かれるので、場合分けして調べましょう。

 

<筆者の解答>

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第6問

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パラメータ表示された曲線に関する面積の問題です。

 

(1) lの式にCの式を代入すればtの方程式にできます。

 

(2) Cの概形を調べて積分計算するのですが、∫dt/(cost)^3 の計算が要求され結構大変です。分子分母にcostをかけてX=sintと変換し、部分分数分解をして解いていきます。

 

別解としては、Cの式でtを消去すると、実はy^2 = x^2 +1という双曲線の式ができます。これを使うと、今度は∫√(x^2 +1)dxの計算が要求され、こちらも経験がないと厳しいです。

 

<筆者の解答>

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