このシリーズでは、大阪大学の後期の数学の問題を解いていきます。
4回目の今回は2009年です。
第1問
連立漸化式に関する、極限の問題です。一見すると行列の問題ですが、行列の要素は殆どありません。
(1)行列で書かれた式を2つの方程式に分解して両辺を各々引き算してあげると、an-bnの漸化式ができてan-bnが等比数列になることが分かります。そうなれば、0に収束する条件は、「公比の絶対値が1未満」ですね。
(2) (1)でan-bnの一般項が求まっているので、それを使ってanだけの漸化式を作って解いてあげればよいです。
<筆者の解答>
第2問
(1) 教科書で「背理法」を学ぶときに例題として頻出する典型問題ですね。√3=p/q (pとqは互いに素な自然数)と仮定して矛盾を導きます。
(2) f(1+√3)を計算していくと、p+q√3 (p,q:有理数)の形に落ち着きます。このときに、「p+q√3=0 →p=q=0」が成り立つことを使えばよいでしょう。
この性質の証明は簡単で、q≠0を仮定すると√3=-p/qとなって√3が有理数となって矛盾してしまいます。
(3) g(1+√3)を計算してA+B√3 (A,B:有理数)の形になった時、g(1-√3)=A-B√3の形になることが言えればOKです。
<筆者の解答>
第3問
ベクトルを題材にした、立体の体積の計算問題です。
(1)Pが△ABCの周or内部にあるとき、s≧0, t≧0, s+t≦1をみたす実数s,tを使ってAP=sAB+ACと書けることを利用すればよいでしょう(この事実は流石に既知としてよいかと思います)。
(2) まずMの位置ベクトルを知る必要があります。Pについては(1)で調べているので、Qをどう表現するかが課題になります。
問題文を読み進めると「大きさが1以下のベクトルr」というものが登場しています。これがいわば「原点中心の半径1の球」を表現しているベクトルとなるので、これを生かしたい所です。
Sの中心をDとすると、Qの位置ベクトルは、OQ=OD+2rと書くことができます。rが「原点中心の半径1の球」なので、2倍することで「原点中心の半径2の球」にできて、中心をDに平行移動してあげれば、OQ=OD+2rと書けるわけです。
これでMの位置ベクトルが、OM=αOA/2+βOB/2+γOC/2+OD/2+rと書けました。
これがRの式と一致すればV=Wとできるので、OMをうまく料理してORの形に持っていきましょう。この時に使う発想が、「α+β+γ=1を使うことでOD/2をα,β,γの和に分解すること」です。
(3) (2)の結果からVはWと言い換えることができ、Wの意味は、「半径1の球を、中心が△A'B'C'の周or内部に存在するように動かしたときの、球の存在領域」となります。
なので、この体積を求める問題となります。
△A'B'C'は全て平面z=2上にあるので、Vを平面z=2+tで切った時の断面積を調べて、積分すれば体積が求まることになります。
<筆者の解答>
第4問
3次関数と2次関数の囲む部分の面積に関する問題です。
P,Qのx座標をp,qとすると、Pで曲線が接してQで交わるという条件から
g(x)-f(x)=(x-p)^2*(x-q)と書くことができます。ここから、両者の囲む面積Sを計算でき、さらにQで接線が直交する条件からpとqの関係式が求まります。
最小値を調べる手段として、最終的には相加相乗平均が登場します。
<筆者の解答>