ちょぴん先生の数学部屋

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平成の京大理系数学 -1994年-

このシリーズでは、東大に引き続き、平成の京大理系数学の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

京大の数学の問題も、難易度は高いですが良問の宝庫であり、演習価値が非常に高いです。

(時々、どうしようもなく難易度が高く、筆者の力量でも解けない問題が出てくることがありますが、どうかご容赦くださいm(_ _)m )

 

26回目の今回は、1994年の問題です。

第1問

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行列の計算問題です。

 

(1)Bを文字で置いて、AB=BAとなる条件を求めましょう

 

(2) (1)からCもpA+qEの形で書けます。AとA, AとE, EとAの積は、全部順番を入れかえても同じになります。

 

(3) (1)の結果を使ってB^2をpA+qEの形で書きましょう。AはEの定数倍では書けないので、係数比較を行えば十分です。

 

<筆者の解答>

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第2問

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フィボナッチ数列を3で割った余りの和を考察する問題です。

 

(1)は、漸化式通りに計算するだけです。この結果から、bnは8の周期を持つことが分かります。

 

(2)は、cnも8の周期を持つことを証明する問題です。cn+8 -cn は、bn+1からbn+8の和ですが、これが、b0からb7の和、すなわちc7になります。

 

(3)は、(2)で示した漸化式を解きます。nを8で割った余りによって8通りの一般項が求まるので、その8個が全てn+1と3/2(n+1)の間にあることを言えばよいです。

 

<筆者の解答>

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第3問

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正四面体の辺上にある3点からなる平面と、底面の外接円が共有点を持つ条件を求める問題です。少し処理の面倒な難しめの問題になります。

 

まず、四面体の底面△BCDをxy平面上に、重心がOと一致するように置いてしまいましょう。ここで向きもそろえて、B(1,0,0), C(-1/2, √3/2,0), D(1/2, -√3/2,0) とおいても一般性を失いません。

 

この設定にしてあげると、A(0, 0, √3)としてあげればABCDは正四面体となり、E,F,Gの座標がそれぞれ求まります。これらによって、この3点を通る平面αの式が、計算が煩雑ですが求めることができます。

 

一方で、△BCDの外接円はx^2 +y^2 = 1となるので、この円と、αとxy平面の交線Lが交点を持てば、題意を満たします。

 

この条件を処理すればお終いですが、少し処理が長いです。

 

<筆者の解答>

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第4問

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角の2等分線による、辺の分割比を求める問題です。

 

角の2等分線の性質から、AQ : QB = PA : PB となるので、QB/AQ = PB/PAとして、これをtの式で表現できます。

 

あとは、tで微分して増減を調べましょう。

 

<筆者の解答>

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第5問

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確率漸化式の問題です。

 

(1)は、赤札をn回目に手に入れる条件を考えて漸化式を立てます。BやCが、赤札を持ち続けるケースがあることに注意です。

 

(2)は、(1)からbn, cnを消去するように式変形を進めて、anだけの漸化式にしましょう。

結果、1個飛びの漸化式になるので、nの偶奇による場合分けが発生します。

 

<筆者の解答>

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第6問

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パラメータ表示された曲線の長さに関する問題です。

 

(1)は、公式通り積分を計算します。途中√(1-cosθ) という形に出くわしますが、これは半角の公式を利用すると、√2sinθ/2となり、ルートを外せます。

 

(2)も同様に積分計算すると、√n = 1/sin(θn/4) が分かるので、sinθ/θ →1 (θ→0) を利用することで、√n θnの極限が計算できます。

 

ちなみに、問題では問われていませんが、Pの軌跡を実際に調べてみると、

答案のような「お尻」型になります。

 

<筆者の解答>

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