ちょぴん先生の数学部屋

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平成の京大理系数学 -1990年-

このシリーズでは、東大に引き続き、平成の京大理系数学の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

京大の数学の問題も、難易度は高いですが良問の宝庫であり、演習価値が非常に高いです。

(時々、どうしようもなく難易度が高く、筆者の力量でも解けない問題が出てくることがありますが、どうかご容赦くださいm(_ _)m )

 

30回目の今回は、1990年の問題です。

第1問

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3次関数と2次関数が接するときに、両者に囲まれる面積を考える問題です。

 

f(x)=x^3 - x , g(x)=x^2 - a とおき、Pのx座標をtとすると、f(t)=g(t)かつf'(t)=g'(t)が成り立ち、2つ目の式から、tが2通り出てきます。

 

この2通りそれぞれに対して、面積を計算しましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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図形問題に託けた整数問題です。

辺の長さが整数、素数だったりするので、a=b=cを証明するのが得策でしょう。

 

余弦定理を使うと、b^2 = a^2 + c^2 -ac という関係式が導かれます。ここからどうするかが考え所です。

 

素数が登場しているので、○○×△△ = 素数 のような形にすれば○○、△△の候補を絞ることができます。また、因数分解を行いたいので、〇^2 - △^2 のような形を作れると嬉しいです。

 

よって、右辺を平方完成して、(a-c)^2 +acと変形するとb^2 - (a-c)^2 = acとなって上記が使える形になります。

 

この後の処理では、aとcの対称性からa≧cとおいても一般性を失わないので、これによって候補を絞っていきます。

 

<筆者の解答>

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第3問

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転置行列にまつわる1次変換に関する問題です。大学で学ぶ線形代数の先取りのような問題となっています。

 

(1)は、計算して確かめましょう。これは、AとBが転置行列の関係になっているときいつでも成立します。

 

(2)fによって、原点を通る直線lがlに移る時、lの方向ベクトルuは、Aの「固有ベクトル」となり、Au = tu (t:実数) となります。

 

これと(1)を利用すると、OQベクトルとQRベクトルの内積が0であることが分かります。これは、Q=Rとなるか、∠OQR = 90° となれば成立します。

 

<筆者の解答>

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第4問

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2つの円に挟まれた領域にn個円を詰め込む問題です。

 

(1)n個円を詰め込んだ時に、1つの半径rの円の、原点を通る接線のなす角を2θとすると、2θ×n が360°以下になっていないと円が重なってしまいます。これを利用して、与式を示しましょう。

 

(2)円の面積の総和はrの2次式で書けるので、面積を最小にするrの候補は平方完成でr=2/(n+4) と分かります。これが(1)の範囲に収まっているかが問題になりますので、大小比較をしましょう。

 

<筆者の解答>

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第5問

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2つの確率変数の独立性を調べる問題です。正直この問題は捨ててOKです。

 

(1)は、N=5,6 のそれぞれに対して、P(X=i), P(Y=j), P(X=i, Y=j)を虱潰しに調べるしかないです。N=5の場合は、P(X=i)×P(Y=j) = P(X=i, Y=j) とならない例が意外と早く見つかります。N=6の場合は、P(X=i), P(Y=j)は全て1/6, P(X=i, Y=j)は全て1/36となるので、独立です。

 

(2)は、筆者自身も自信がありません。

(1)の結果から、確率分布が全部一定になる時にXとYが独立であることが予想できます。

 

こうなるケースはNが6の約数になる時に限るので、N=3,6に絞られ、両方とも独立であることが分かります。

 

ただ、これで必要十分なのかが証明できていないので、答案としては不十分なものになってしまっています。。。すみません。

 

<筆者の解答>

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第6問

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楕円から内部の円に次々接線を引く問題です。

 

問題文の状況を噛み砕くと、円の接線が3角形を作るということになるので、Qのy座標は-1となります。

 

よって、Qのy座標をa,bで表し、それが-1になるという条件からaとbの関係式が求まります。

 

<筆者の解答>

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