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平成の東北大理系数学 -2019年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、東北大学の2019年の問題を取り上げます。

 第1問

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サインカーブの接線が直交する条件を考察する問題です。

 

x=α、x=βでの接線が直交するとすると、cosαcosβ=-1となります。このまま手詰まり化と思いきや、cosは-1以上1以下なので、こうなる場合は、(cosα, cosβ) = (1, -1), (-1, 1)の2パターンしかありません。よって、αとβを一般的に求めることができます。

 

<筆者の解答>

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第2問

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対数を含んだ不等式の解を考える問題です。場合分けが少々煩雑な問題です。

 

まず、aが0<a<1なのか、a>1なのかで大きく話が変わります。前者ではloga(x)は減少関数、後者ではloga(x)は増加関数なので、前者の場合はlogを外すときの不等号の向きが逆になります。

 

(1)は、0<a<1の場合とa>1の場合で場合分けして、2次不等式を解くことになります。

また、真数条件に要注意です。

 

(2)も、0<a<1の場合とa>1の場合で場合分けして、それぞれに対して2次不等式を解いた範囲と、真数条件の重なり具合を確認しましょう。整数解を持つ条件なので、それぞれ少なくともどの整数を解として含んでいないといけないのかを注意深く追っていく必要があります。

 

<筆者の解答>

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第3問

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一般項が求まらない数列の極限を考える問題です。これは発想力勝負の、本セット最難問です。発想力だけで明暗が分かれる問題なので、思いつかなければ捨ててOKです。

 

まず与えられた漸化式から、xn+1 - xn ≧0となるので、xnは単調増加の数列になります。

 

(1)a>0のときは、xn+1 - xn >a^2が言えるので、両辺を全て足してあげると、xn > a +(n-1)*a^2のように、xnは正の1次関数より大きいことが言えます。この1次関数は無限大に発散するので、xnも無限大に発散します。いわゆる「追い出しの定理」という奴です。

 

(2)は数学的帰納法による証明ですね。

 

(3)が特に難問です。xnが0未満でかつ単調増加なので、極限は0になりそうだと予想できまず。しかし、これを証明するのが難しいです。

 

最初、2次関数の接線を使って不等式評価しようかとも考えましたが、0での接線の傾きが1となってしまい、はさみうちにうまく持ち込めず失敗しました。。。

 

悩んだ末、はさみうちがうまくいかないなら、(1)のような「追い出しの定理」が使えないかと考え、xnの逆数をとって、これが無限大に発散することを言えばよいのでは?というアイデアを思いつきました。

 

結果、xn = -1/zn と置きなおすと、zn+1 >zn + 1 が言えるので(1)と同じ理屈でznが無限大に発散することを示せました。

 

これは、思いつかなければまず無理でしょう。。。

 

<筆者の解答>

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第4問

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合同式多項式バージョンみたいな関数を考える問題です。誘導が丁寧ですので、うまく乗っていきましょう。

 

(1)はとりあえず具体例で実験してねという問題ですね。

 

(2)は、当然っちゃ当然なのですが、Aをx^2 +1で割った商をP, 余りをRなどと置いてやれば証明できます。

 

(3)も、中身を愚直に計算するだけです。

 

(4)は、(2), (3)をうまく使いたいところです。

 

与式が0じゃないので、aとbは同時に0になりません。このとき、(3)と関係づけると、a=rsinθ、b=rcosθ (r=√(a^2 + b^2 ) ) と書けることが分かります。

 

あとは、(2), (3)を使って、与式をどんどん簡単にしていきましょう。最終的に、cos4θ=0, r^4 * sin4θ = -1 を解けばよいです。

 

<筆者の解答>

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第5問

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積分方程式の問題です。(1)はこの手の積分を知っているか否かで明暗が分かれるピーキーな問題なので、(1)を後回しにして(2)から解き始めるのもアリです。

 

(1)は、この手の積分の解き方をを知ってるか否かだけの知識問題に近いです。このテクニックを知らない状態で、初見で自力で解くことはまず不可能です。

 

これは、いわゆる「対称性の利用」という積分解法になります。左辺の式で、x=-tと変換したものを準備して両者を足してあげると、分母がきれいに約分できる!!という手法です。この問題みたく、大学入試でごく稀に出てきます。

 

(2)は、(1)の結果を使って、お馴染みの積分方程式の解法に持ち込みます。定積分の部分を文字でおいて連立方程式を解いていくという流れです。(1)自体が解けなくとも、(1)の結果ありきで解いていけるので、こちらを先に解くのもありです。

 

<筆者の解答>

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第6問

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確率漸化式の問題です。

 

(1)は、n回後とn+1回後の推移を考えて漸化式を立てるだけです。

 

(2)は、(1)と同様にp(n+1, 1)とp(n+1, 0)も、p(n, 0), p(n, 1), p(n, 2)の漸化式で表現して、一般項を求めていきます。これにより、p(n, 0)⇒p(n, 1)⇒p(n, 2)の順に求まっていきます。

 

(3)p(n, 2)については、あまりメジャーでない漸化式を解く必要があります。pを含まない定数項の部分に、2種類の等比数列が混在しているタイプの漸化式です。つまり、

 

an+1 = αan + s*β^n + t*γ^n のタイプの漸化式です。この漸化式で書けるanの一般項は、一般にan = aα^n + bβ^n + cγ^n の形で書けるので、これを代入してa, b, cを決定していくという解き方が良いと思います。この解き方を知っているかが明暗を分ける問題でした。

 

<筆者の解答>

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