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平成の阪大理系数学 -2017年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、大阪大学の2017年の問題を取り上げます。

 第1問

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双曲線の接線を考える問題です。

 

AにおけるHの接線は、x=-1, BにおけるHの接線は、x=1, CにおけるHの接線は、sx-ty=1と書けますので、これらを利用します。

 

(1)(2)は2つの直線の式を連立するだけです。

 

(3)P, Q, Rの座標を全て求めて、QPベクトルがQRベクトルの定数倍になっていることが言えればOKです。

 

<筆者の解答>

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 第2問

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1の5乗根と絡めた確率の問題です。

 

(1) 1+z+z^2+z^3+z^4 を求めるわけですが、そもそもz^5 = 1を因数分解すると、

(z-1)(1+z+z^2+z^3+z^4)=0 となり、z-1は0ではないので、1+z+z^2+z^3+z^4 =0でないといけません。

 

(2)これを解くには、zを直接求めることが必要です。つまり、cos72°とsin72°を求めに行きます。θ=72°とすると、cos2θ=cos3θが成立するので、倍角の公式を使ってcosθの3次方程式を解けばよいです。

 

zとz^4は複素共役なので、w= z+ z^4は、2cos72°となります。

 

(3)これは、全てのケースについて総当たりで調べに行きます。その際に、表の出る回数で場合分けをすると見通しが良いです。

表が0回、1回、4回, 5回出るときは、|w|=0または1となるので、実質表が2回、3回出る場合を考えればOKです。また、3回出る場合も、(1)の結果を使うと、実質2回出る場合に帰着できます。

 

<筆者の解答>

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 第3問

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√7をできるだけ近い有理数で近似する、いわゆる「ディオファントス近似」を題材にした問題です。

 

(1)絶対値を外して2√7を足してみましょう。2(√7 + 1/b^4)と6の大小比較で√7の近似値を使います。

 

(2) 問題文の不等式と、(1)で証明した不等式の両辺を掛け算すると、

b^2 |a^2 - 7b^2| <12 が言え、かつ |a^2 - 7b^2| は0にならないため必ず自然数になります。このことから、bの候補が大分絞れます。候補を絞ったら個別に調査です。

 

<筆者の解答>

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 第4問

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実数の取りうる値を調べる、いわゆる線形計画法の問題です。これはグラフを精密に描かないと解けない難問です。特に(2)が厳しいです。

 

(1)は、与えられた条件から、1≦b+c≦3, 14≦3b+c≦15が求まるので、これをbc平面に図示しましょう(平行四辺形になります)。この図を傾きや交点などを丁寧に図に書き込んでおかないと、(2)でお手上げとなってしまいます。

 

このときf(4)=4b+c-16を直線とみなしたときに、上の領域と交点を持つようなf(4)の条件を調べましょう。

 

(2)は、放物線と平行四辺形が交わる条件を考えるので、(1)以上に面倒くさいです。面倒くささの要因は、放物線の傾きが場所によって変化する点です。

 

なので、放物線を上に持ち上げたときに、どの時点から平行四辺形にぶつかり、どの時点からぶつからなくなるか、頂点でぶつかるのか辺でぶつかるのかを頭でイメージしながら丁寧に追いかけないといけません。

 

(3)を先読みすると、6は求める範囲に入っているはずなので、答えが求まったら確認しましょう。

 

(3)は楽です。f(x)= -(x-b/2)^2 +6 となるので、実質bと無関係に、y=-x^2 + 6とx軸で囲まれる面積を計算すればよいです。

 

<筆者の解答>

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 第5問

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パラボラ面と円柱との共有部分の体積を求める問題です。

 

x=1からの距離が1以下というのは、要するにx=1を中心軸にした半径1の円柱の内部のことです。

また、問題全体を通じて、z軸を新たに作っておくと考えやすいです。

 

(1)は、平面y=tによる断面を考えるわけですが、問題文のθが、断面のどの部分の角度を表しているのかを見極めるのが難しいポイントです。ヒントとしては、角度が45°から90°になっていることでしょうか。

 

(2)は、計算が若干長いですが、(1)の断面積S(t)をtで微分します。

 

<筆者の解答>

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