このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
15回目の今回は2004年になります。
第1問
平行移動した2本の3次関数の交点、囲む面積を考える問題です。
(1) C2の式は、C1の式でxをx-aと置き換えてしまえば実現できます。あとは、両者を連立したxの方程式が2個の実数解をもつ条件を求めて、面積を積分で計算しましょう。1/6公式と解と係数の関係を使うとよいです。
(2) S(a)を微分して増減を調べます。
<筆者の解答>
第2問
行列の計算問題です。
(1) Bが具体的な形で分かっていないので、tB=A-sEとして2乗してBを消去して処理します。AがEの実数倍ではないので(実数倍とすると矛盾する)、pA+qE=0ならばp=q=0を利用してs,tをa~dの式で求めることができます。不等式はその過程で証明されることになります。
(2)解と係数の関係を使えばよいでしょう。
<筆者の解答>
第3問
方程式が実数解をもつ条件を調べる問題です。
絶対値と三角関数が入り混じっていて複雑なので、まずはどっちかの要素を簡単にします。幸いcos2xはsinxの式で書けるので、t=sinx(-1≦t≦1)と変換すれば、絶対値の中身を2次関数にできます。
絶対値が付いたまま考えるとaの場合分けがえらいことになってしまうので、絶対値を外してしまいましょう。すると2本の方程式ができるので、そのどっちかが-1≦t≦1を満たす解をもつようにaの条件を決めていきます。
本解答では、「a=tの関数」の形へ変形、いわゆる定数分離に持ち込んで処理しています。こちらの解法ではほとんど場合分けをせずに機械的に視覚的に解けるのでミスがないです。
別解では、2次方程式の状態のまま解の配置を考える方法をとっています。微分を使わない文系向けの解き方です。こちらの場合はaの値による場合分けが結構煩雑になります。
<筆者の解答>
別解
第4問
分乗の場合の数を調べる問題です。大人数で旅行するときに起こりがちなシチュエーションですね。
以後4人乗りの車をA, 5人乗りの車をBとして議論します。
(1) Aに何人乗るかで場合分けして調べればいいでしょう。
(2)運転できるa~cの3人と、運転できないd~gの4人を別個に考えるのがポイントです。
先にa~cの分乗の仕方を考えて、それぞれに対してd~gの分乗の仕方を数えます。
(3) 歩く人の人数で場合分けして検討しましょう。歩く人=0人の場合は、既に(1)で調べています。
余談ですが、車で旅行しようと言っているところで「歩く人」を想定していることにツッコミたくなりましたね笑。せめて「自転車、原付、バイクに乗る」にしろよと笑
<筆者の解答>
第5問
双曲線に関する問題です(ネタバレしちゃいました・・・)
(1) t=aでのCの接線の傾きはx(a)/y(a)と書けるので、接線の式を求めて、Aを通る条件を順に処理していきましょう。
(2) L^2 =x^2 +(y-1)^2を最小化すればいいので、tで微分して増減を考えます。
(3) 冒頭で書いた通り、Cは実はx^2 - y^2 =1 (x≧1)と書ける双曲線になります。(この理由から、x,yの式は「双曲線関数」と呼ばれています)
この知識を使いつつ、図を描いて積分で面積計算しましょう。
<筆者の解答>
第6問
複素数の方程式に関する問題です。
(1) zのべき乗、zの絶対値、といった要素が登場しているので、z=r(cosθ+isinθ)と極形式で考えればよさそうです。このとき、z^3が実数になるので、θの値が絞られてきます。
あとは、各θに対して、rとaの対応関係をグラフにするとよいでしょう。aを実数全体で動かしたときにrがどの範囲を動くかを視覚的に把握します。
(2) (1)で書いたrとaのグラフから、θがπ/3の偶数倍の時は、1つのaに対してrが2個対応することが分かり、θがπ/3の奇数倍の時は、1つのaに対してrが1個対応することが分かります。
<筆者の解答>