このシリーズでは、平成の東北大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
16回目の今回は2003年になります。
第1問
微分係数と、二項係数の和を計算する問題です。一見すると(1)と(2)は独立した問題に見えますが・・・
(1) f'(x)を計算してx=0を代入するのですが、n=1だけ例外扱いになることに注意です。
この結果と、(2)の文章を見比べると、関連性に気付けるかと思います。
(2) (1)の結果から、求める二項係数のΣが、実はf'(0)そのものなのではと予測できます。
f(x)を一旦二項定理で分解してから微分してあげると、見事それが導けます。
もちろん、(1)がなくとも(2)を単独で解くことも可能です。その場合は係数を調整して2項定理を使っていく流れになります。
<筆者の解答>
第2問
点の移動に関する、同一平面上にある条件、六角形の面積を計算する問題です。
(1) まずはP~Uの時刻tでの座標を調べるのが第一です。そのもとで、点Vが平面PTU上にある条件は、OV=(1-p-q)OP+pOT+qOUと書けることです。Rがそれを満たすことを確認しましょう。
(2) Q,SがOV=(1-p-q)OP+pOT+qOUの形にかけるようなtの値を調べていきます。
(3) 考える6角形は、QSと対称な等脚台形を2つ上下に合わせたものになります。なので、各辺の長さを調べてあげれば面積が求まります。
<筆者の解答>
第3問
2つの円周上の一定距離の点の軌跡に関する問題です。
(1) s^2+t^2=1, (u-1)^2+v^2=1, (s-u)^2+(t-v)^2=1を連立して解いていきます。
(2) Pが(1,0)にある場合、Qが(0,0)にある場合、それ以外の場合、の3パターンに場合分けして軌跡を考える必要があります。
<筆者の解答>
第4問
積分に関する極限の計算問題です。
(1)t=sinθと置換すると解くことができます。
(2) -π/4≦θ≦π/4では、1/√2≦cosθ≦1となることを利用します。
(3) (2)の不等式を使ってはさみうちに持ち込みます。問題文のヒントから、logn/n→0(n→∞)が言えるのがポイントです。
<筆者の解答>
第5問
逆関数に関する問題です。
(1)y=e^(x-c)をxについて解いてあげれば逆関数が求まります。
(2) y=f(x)とy=g(x)は逆関数の関係にあるので、y=xに対して対称です。さらにf(x)とg(x)が単調関数なので、y=f(x)とy=g(x)の交点は、y=xとy=g(x) (あるいはy=f(x)とy=x)の交点と一致します。この事実を使って交点数を数えていきます。
<筆者の解答>
第6問
行列に関する証明問題です。
まずは、A^2 = O となるAの成分の条件を調べるとよいでしょう。
こうしてA,Bの成分を文字でおいて(1)(2)を証明していきます。
(2)は、Aの成分が0になるかならないかで場合分けが発生します。
<筆者の解答>