東大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、東北大学の2010年の問題を取り上げます。
第1問
関数の不等式の問題です。
この年の東北大の問題は全体的に難問が多いですが、この問題も一見して何をすればいいかが分かりにくいです。
この不等式の意味を考えてみることから始めてみましょう。f(a)の係数とf(y)の係数をよく見てみると、足して1になっています。係数と足して1、、この時点で線分の内分を思いつければ上出来です。
つまり、この式は、A(a, f(a))とY(y, f(y))を結んだ線分AYよりも、常に3次関数上の点X(x, f(x))の方が常に上にある、と言っているわけです。このことから何が言えるかというと、3次関数のグラフがこの区間で常に「上に凸」ということです。
よって、f(x)が上に凸になる区間を答えればよいことになります。
<筆者の解答>
第2問
3次関数の接線に関する問題です。
(1)やることは典型問題です。x=tでの接線が(a,b)を通るという条件からtの方程式ができるので、この方程式が3個の実数解を持つ条件を求めます。
この問題の場合は、極小値の正負が一見すると分かりにくいので、これを調べないといけないのが難点です。
(2)2本の接線の傾きから、tanの加法定理を使うのが良いでしょう。
<筆者の解答>
第3問
重複を許して1~4の数字で5桁の数字を作る問題です。このセットの中では手が付けやすい問題だと思います。
(1)1が2回出て、1以外が3回出る確率を求めればよいです。
(2)1,2が一回ずつ、3か4が3回出る確率を求めればよいです。
(3)2回登場する数字が、1種類の場合と2種類の場合で場合分けして考えます。それぞれの数字の出方を数えるのですが、2重に数えたり数え忘れてしまいがちなので、注意が必要です。
<筆者の解答>
第4問
ベクトルの問題で、これは始点の取り方を工夫しないといけない難問です。
(1)始点を全てAに統一すると、ABベクトルが、ACベクトルとADベクトルの和で書けます。これは、A,B,C,Dが同一平面上にあることになりますが、四面体を作っているという事実に矛盾します。
(2)式の両辺をよく見ると、それぞれの中点を表しています。よって、Mからの距離とNからの距離が等しい点の集合体になります。
(3)これは始点の選び方に試行錯誤が必要です。問題文に出てくるベクトルの始点がMで揃っているので、Mに始点を揃えて考え始めてみましょう。
(4) (2), (3)を両方満たすという条件をぐちゃぐちゃと処理していきます。
<筆者の解答>
第5問
体積の問題です。この問題は、手が付けやすい部類の問題です。
グラフを描くと、y=sinxとx=t-yの交点の座標が必要になってきます。交点の座標はキレイに解けないので、一旦文字で置くしかありません。αとでも置いてみると、V(t)はαの式で統一して書けます。
V(t)をtで微分したいので、合成関数の微分の知識を使うと、これはV(t)をαで微分したものに、αをtで微分した式をかけたものになります。
ここまでできれば、あとは難しくありません。
<筆者の解答>
第6問
正六面体の頂点の移動を考える問題で、この問題こそが本セット最難問です。ボリュームもえらいことになるので、本番では捨て問にすべき問題です。
(1)Xの各頂点を反時計回りにP0~P5とします(ただしP0 =Pとする)。
Pが不動の時、Aのうち2つの成分は決まりますが、もう2つは決まりません。
このとき、P1~P5がどの点に移るかを総当たりで確認します。移った先をQ1~Q5とすると、Q1とQ5の中点が常に一定の点(1/2, 0)なことが分かります。これを満たしつつQ1, Q5がX上の点であるためには、Q1, Q5がP1, P5のどちらかでないといけないことが分かります。
このことからAが完全に確定し、このAによって、Q0~Q5は全てP0~P5のどれかに一致することが分かります。
(2)は、(1)でやった作業を、「PがP1に移る時」「PがP2に移る時」「PがP3に移る時」「PがP4に移る時」「PがP5に移る時」のすべてに対して行わないといけません。(1)の時点で疲労困憊なのに、あとこれを5回もやれと、、、完全なる捨て問です。
気休め程度ではありますが、「PがP4に移る時」「PがP5に移る時」は、対称性から、「PがP1に移る時」「PがP2に移る時」に求まるAにマイナスをかければよいので、実質3回に減ります。それでもきついですが。
<筆者の解答>