東大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、東北大学の2009年の問題を取り上げます。
第1問
等式・不等式の証明問題です。
これは、式の形を見た瞬間に、
A^3 + B^3 +C^3 -3ABC = (A+B+C) (A^2 + B^2 + C^2 -AB -BC -CA) という因数分解の公式が思い浮かんでほしいところです。
この問題では、Cの部分が-Cに置き換わっています。
これさえ見抜いてしまえば、証明は容易いです。
<筆者の解答>
第2問
長方形を縦ないし横にのりしろ付きで次々に繋げていった時の面積を考える問題です。
(1)実際に絵に描いてみて、面積の規則性を調べていきましょう。
(2)aの1次不等式を解くだけの易しい問題です。
(3)は少し難しいです。(2)と同じようにaの1次不等式になりますが、同時にLの2次不等式にもなっています。このLの2次不等式が自然数解をもつようなaの範囲を求めよと言われているわけです。とはいえ、明らかに1次不等式として処理したほうが楽なので、Lが存在するありきで考えてしまいましょう。
Lを固定したときのaの範囲を求めて、Lを自然数の範囲で動かしたときに、それらを全て繋げた範囲こそが、求めるaの範囲になります。
<筆者の解答>
第3問
確率の問題です。
「玉を袋に戻さずに次々引いていく」という状況は、「玉を同時に○○個取り出す」という状況と同じだと考えることができます。
(1)3回目まで青を引き続けて、4回目で赤を引けばよいです。
(2)玉を同時に8個取り出して、その中に赤3個が全て含まれている確率を考えるのと同じです。
(3)玉を同時に7個取り出して、その中に赤2個が全て含まれていて、かつ残りの3個から赤を取り出す確率と同じです。
(4)同様に考えることで、4回目までに取り出す赤の個数で場合分けして考えましょう。
<筆者の解答>
第4問
sinの大小関係と積分値を考える問題です。
(1)sinθとsin(θ-2a)の大小関係を当然調べる必要があります。グラフを用いてもいいですし、和積の公式を使って考えるのもよしです。あとは、積分区間を分けてIを求めましょう。
(2)Iは、sinaの2次式となっているので、t=sina として2次関数の最大値を考えればよいです。
<筆者の解答>
第5問
行列の計算問題です。
(1)与えられた等式をよく眺めると、右からPAをかける、左からAPをかければ左辺が同じになることに気付きます。ここで、「APA=P^2 ⇒P^3A=AP^3」は言えますが、逆は必ずしも成り立たないことに注意です。
(2) (1)の式を利用してAの候補を絞り込んでいきましょう。大きくp=qの場合と、p≠qの場合で話が分かれていきます。前者の場合はさらに、Aが単位行列Iの定数倍かそうでないかによっても場合分けが発生します。
候補を絞ったら、最後にAPA = P^2を満たすかの確認が必要です。
<筆者の解答>
第6問
絶対値付きの2次方程式の解の個数を調べる問題です。これは難問です。
xの範囲によって絶対値を外すのは基本中の基本ではありますが、今回はそれをいきなりやってしまうと、3通りそれぞれで、2次方程式の解の個数をaで場合分けして調べて・・・という非常に大変な作業になってしまいます。この問題が、仮に文系で出たとすれば、即座に捨てるべき問題となります。
絶対値外しの場合分けはどの道避けられないので、なんとかaの場合分けを端折れないかを考えます。
そんな考えのもと、式をよく見てみると、実はaは1次しか登場しないので、a= (xの式)の形にできます。いわゆる定数分離という奴です。よって、aを含まない上記のxの式のグラフが描ければ、解の個数を一度に調べることができます。
この方針が決まれば、グラフの概形を調べることに注力しましょう。
<筆者の解答>