このシリーズでは、平成の京大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
14回目の今回は1993年になります。
第1問
3次関数の決定問題です。
(1)の条件については、分母が0に行く形の極限になっているので、分子も同時に0に行ってくれないと有限の値に収束しません。よって、f(1)=0が必要になります。
その上で極限値を計算してa,b,cの条件を決めていくと、結果的にf(x)はaだけの式にできます。
(2)についてはf'(0)<0なので特にいう事はないですね。
(3)については、直線の式を計算して積分計算します。f(x)と直線の上下関係が分からないので絶対値を付けておくと確実に面積になります。
<筆者の解答>
第2問
合成関数=0の実数解の個数を考察する問題です。
(1) f(x)=tが実数解を3つ持つには、f(x)自身が極値を持っていて、なおかつtが極小値と極大値の間にないといけません。
(2)g(x)=0の解は、f(x)=X(Xはf(x)=0の実数解)の解をすべて集めたものになります。X自体はX=0, ±√(3a) と簡単に分かるので、f(x)=√(3a)とf(x)=-√(3a)がそれぞれ3つの実数解を持つのが必要条件になります。(1)を使ってaの範囲を決めましょう。
y=f(x)のグラフを書くと、実は各3つの実数解がダブりがないことが視覚的に分かるので、上記が十分条件にもなっています。
<筆者の解答>
第3問
ベクトル列に関する問題です。
(1) A1~D1の位置ベクトルをそれぞれa~dで書いてあげると対称性があること分かるので、OP1の式が思いつくかなと思います。
(2)A2~D2に対して同じことをしてあげたときの類推から、OPnの漸化式を立てることができます。それを解いてあげればOKです。
(3) QはPnの収束先なので、(2)の結果でn→∞の極限をとればお終いです。
結果は、四角形A0B0C0D0の重心になることが分かります。
<筆者の解答>
第4問
不等式が常に成り立つ条件を調べる問題です。答え自体は予想がある程度できますが、それをきっちり論証できるかどうかが問われます。
この手の問題では、(xの関数)<(aだけの式)のような「定数分離」を行うとうまくいく場合が多いです。今回は対数を取ってあげるとaを綺麗に分離できます。
x=1の前後で場合分けが発生するので、それぞれ検証していきましょう。
<筆者の解答>
第5問
場合の数の問題です。
問題文の条件をうまく噛み砕いてあげると、「1種類の数字がが6文字の中に少なくとも2つ以上ある」という意味になることに気付けるでしょうか?
これに気付きさえしてしまえば、数字が何種類登場するかによって場合分けして、個数を調べていきます。
「Aが2個、Bが2個、Cが2個」、「Aが3個、Bが3個」のような複数の種類で個数が揃ってしまう場合は、A,B,Cに大小関係を付けてあげないと、順列を数えるときにダブルカウントが発生してしまいます。そこに注意です。
<筆者の解答>
第6問
第4問に続いて、不等式が常に成り立つ条件を調べる問題です。
与式は両辺が分数の形になっています。計算を進めるには分母を払いたいのですが、分母の正負によっては不等号の向きが逆になるかもしれない懸念が生じます。それを逐一場合分けして調べるのはとても大変です。
なので、明らかに正だと確定したものを両辺にかけて分母を払いたいです。(x+c1)^2*(x+c2)^2をかけてはどうでしょうか?これなら正で確定していて不等号の向きはそのままでよく、なおかつ分母を払うことができます。
この工夫をして式を整理すると、(x+c1)*(x+c2)*(xの2次式)>0という形になります。
これがx=-c1,-c2以外の全てで成立するには、この左辺自体が(x+c1)^2*(x+c2)^2の形で書けていれば良さそうです。
なので、こうなる条件をこの後は調べていきます。c1とc2が等しいか否かで場合分けが発生します。
<筆者の解答>