ちょぴん先生の数学部屋

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平成の名古屋大理系数学 -2007年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、名古屋大学の2007年の問題を取り上げます。

第1問

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上三角行列をn乗して単位行列になる条件を考える問題です。

 

(1)(2)ともに、条件を満たすa~dを決めていきます。

 

(3)は、A^4 =Eとなる条件が、A^2 = Eとなる条件と完全一致することを説明すればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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3次方程式の解の配置を考える問題です。

 

(1)は教科書レベルの問題です。

 

(2)解と係数の関係から、α+β+γ=3/2 , αβ+βγ+γα=0, αβγ=(a-1)/2 と求まるので、これをを使って、lの式からαとγを消去しましょう。

 

(3) (1)の結果から0<β<1が求まるので、この範囲でlの増減を考えましょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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体積の極限の問題です。

 

Vnを計算すると、an+1, anの式で表されます。このままではどうにもなりませんが、ここで、一風変わった問題文の漸化式を計算します。

 

すると、an^(1/3)が等差数列になっていることが分かりますので、an^(1/3)の一般項が求まります。

 

これにより、極限が計算できるようになります。√-√の形の極限は、分子を有理化するとうまくいくことが多いです。

 

<筆者の解答>

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第4問(a)

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第4問は(a)(b)の選択問題で、難易度的には若干(a)の方が低めという感じでしょうか?

(a)は軌跡を考える問題です。

 

(1)2つの接点の座標を文字で置いて進めると見通しが良いと思います。

計算を進めると、x1x0 + y1y0 = 1が求まるので、これはOPベクトルとOQベクトルの内積そのものとなっています。

 

状況を図に書いてみると分かりますが、OPとOQは同じ方向を向いていることが分かります。以上からOP×OQ=1が分かります。

 

この事実から、Qの座標がPを使って表すことができます。

 

(2) (1)の結果からx0, y0を消去しましょう。結果、軌跡は円になりますが、Qは原点を通りえないことに注意します。

 

<筆者の解答>

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第4問(b)

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確率の問題です。

 

(1)3回分の袋の中身の変化を丹念に追いかけていきましょう。

 

(1)ためしにn=2の方も計算してみると、p2(1): p2(2): p2(3) = 3:2:1となります。このことから、ひょっとして、pn(1):・・・:pn(n+1) = (n+1): ・・・:1 となるのではと勘が働きます。これを数学的帰納法で証明しに行きます。

 

n=kとn=k-1の間で漸化式を立てて証明しましょう。

 

<筆者の解答>

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