ちょぴん先生の数学部屋

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平成の阪大理系数学 -2007年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、大阪大学の2007年の問題を取り上げます。

第1問

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回転体の体積の極限を考える問題です。

 

Vの計算はテンプレ通りですが、円錐の体積の知識を使うと計算が楽にできます。

 

計算すると、Vの分母が事実上1次式になるので、a=1であれば有限値に収束します。

 

<筆者の解答>

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第2問

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不等式証明の問題です。これは一応誘導にはなっていますが、イマイチ使い方の分かりにくい難問の部類に入ります。

 

(1)は、絶対値を無視できるように、両辺を2乗すると見通しが良いと思います。とはいえ、一回微分しただけでは様子が分からないので、微分を何回か繰り返さないといけません。

 

(2)は、rを消去して平方完成を考えましょう。このとき、pとqを対称に扱うとうまくいかないので、pの2次式と捉えて平方完成しましょう。

 

(3)がメインの問題で、(1)(2)を使います。

 

まず、式の中にlogがあるのが面倒なので、(1)を使ってlogを消してしまいましょう。

すると、√ab +√bc +√ca ≦1/3 を示せばOKということになります。

 

ここで、(2)の考え方を使って、√cを消去すると、√aの2次式とみなせるので平方完成を行います。

 

(2)は直接使うというよりかは、考え方を(3)で生かすという使い方でした。。

 

<筆者の解答>

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第3問

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円上の動く点に関する問題です。奇しくも、同じ年の名古屋大の第4問(a)に同じような題材の問題が出題されていました。筆者は連続で解いたので、強烈なデジャブを感じました笑

 

Aをx軸上に定義しても一般性を失わないので、それで考えていきましょう。

 

(1)P(r(1+cosθ), rsinθ)とおいて、Qの座標を求めましょう。計算すると、Qのx座標は常に一定となりますので、Qの軌跡はy軸と平行な直線となります。

 

直線OAはx軸と定義したので、両者は当然直交します。

 

(2) (1)の直線と原点との距離がr未満になっていればよいわけです。

 

<筆者の解答>

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第4問

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x=tについて対称な2本の3次関数曲線についての問題です。

 

(1) f(x)=f(2t-x)を連立してできるxの3次方程式が、x=t以外に2つの実数解を持つ条件を考える問題に帰着します。

 

(2)で考えた方程式のx=t以外の2つの解をα、βとして、積分をひたすら計算していくことになります。かなりの計算量で、工夫しないと手に負えませんが、最終結果はかなり簡単な形になります。

 

<筆者の解答>

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第5問

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行列を使った場合の数の問題です。本セット最難問で、本番では捨て問確定です。

第一、大学入試で正方行列以外の積を扱うこと自体が稀ですよね。。。

 

(1)行列の掛け算が計算できる条件は、a×b行列とc×d行列を掛け算するときにb=cとなることで、掛け算した結果はa×d行列になります。

 

これを念頭に、A, B, C, Dの右隣に来れる行列を列挙すると、それぞれ2通りしかないことが分かります。よって、M1の選び方が4通りで、以後の行列の選び方は全て2通りとなります。

 

(2) (1)の結果から、掛け算を計算できる組み合わせ、A^2, AB, BC, BD, CA, CB, DC, D^2をすべて計算すると、これらは、O, A, B, C, D, CB=Fのいずれかとなります。よって、Mnの積も、この6つのいずれかとなります。

 

このうち、2×3行列なっているのはBだけで、M1がAかBに限ります。それぞれについて場合分けして考えていきます。

 

掛け算できる2つの行列には並びには限りがあるので、n個の列といえども、並びはかなり限られます。

 

(3) (2)と同様に、Mnの積がA, C, D, Fになる場合を総当たりでチェックして調べることになります。

 

<筆者の解答>

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